【ケース1:地方でも手軽におしゃれさを演出できるおしゃピク】
和歌山県内の高校に通うAさんは学校の友達と“おしゃピク”をしたという。Aさんがおしゃピクを知ったきっかけはインスタグラムだ。人気投稿として表示されたおしゃピクをしている女子大生の写真を参考に、友達と計画したそうだ。
Aさんと友人たちは高校の近所にある芝生が広がる公園に、カラフルなお菓子や手頃なファストフードを持ち寄った。レジャーシートの上には大きなぬいぐるみや100均で買ったという小さな黒板を置いた。黒板にはグループのメンバーの名前やイラストが書かれている。これだけでも十分、従来のピクニックに比べてにぎやかな光景に見えるが、それだけでは終わらないのがおしゃピクだ。写真映りをよくするために、わざわざハンバーガーの包み紙を剝がしたり、飲み物もメイソンジャーに移し替えたり、と細部にまでこだわっている。
これらはSNS映えをよくするための工夫だ。インスタグラムをはじめとしたSNSはいまや高校生にとっても生活に欠かせないものとなっている。そして、SNSでたくさんいいね!がもらえることがステータス化し、学校におけるヒエラルキーにも影響する。
多少の程度の差こそあれ、それは都会でも地方でも変わらない。都会のようにSNS映えするスポットやイベントの少ない地域の高校生にとっては、おカネを掛けずに手っ取り早くSNS映えするイベントがおしゃピクともいえる。
おしゃピクの目的とは
Aさんにおしゃピクをする目的を聞いてみると、「自分がJKらしいことをしているという自己満足のため」だという。SNS上でいかに充実した高校生活を送れているかをアピールすることは、今の若者たちにとって欠かせない行動なのだ。
おしゃれさをより追求する点が、過去にはやった若者の「公園遊び」とは大きく違う点だといえるだろう。以前この連載で紹介した「公園遊び」は友達との仲の良さのアピールや、学生のうちでしか楽しめないことをすることが主目的であった。その場所として公園が選ばれる理由としては、おしゃれアピールをすることに飽きてしまったというものがあった。
しかし、今回紹介したおしゃピクは友達との仲の良さをアピールすることに加えて、おしゃれさもアピールできるという進化した形だともいえる。
つまり、「自分はおしゃれ」「自分は友達が多い」この2つが同時にSNSでアピールできるのだ。こうした「おしゃピク」は現在の若者がついつい、いいね!をしたくなるコンテンツとなっているのだ。
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