日本の仏教は大乗仏教であり、日本人の思想の基底には大乗仏教の考え方が流れていると感じています。大乗仏教の特徴は、自分が悟ること以上に、他者を救うことに主眼が置かれることです。自分だけでなく、衆生を救うことを目指すということで、「大きな乗り物」なのです。
浄土系寺院の本尊となっている阿弥陀仏は、仏になる=覚りを開く以前は、法蔵菩薩という名の菩薩でした。法蔵菩薩は、自分が仏になる=悟りを開くことを得る前に、「あらゆる人を救いへと導くことができなければ、自分は決して成仏しない」と誓いを立てました。「あらゆる人を必ず救う」という志ほど大きな志を、私は知りません。
小志を大志にかえる強烈な体験
この本でも志のサイクルを促進する重要な体験のひとつとして、哲学や思想・宗教との出合いが挙げられていますが、私自身が仏道を歩む日々の中で、宗教が自分の志に大きく影響していることを実感しています。自分の器が粉々に砕かれるほど大きな超越との出合いが、小志を大志に変えるのです。偉大な経営者になればなるほど、その晩年に語る言葉は神仏に触れることが多くなり、宗教者のような雰囲気を帯びてくるように思いませんか。それは、企業経営も最後は神さま仏さまにすがるしかないというような話ではありませんね。
人としての器が大きくなるにつれ、神仏の物語を、遠く離れた神仏のこととしてではなく、ほかでもない自分のこととして受け止められるようになるからだと思います。
菩薩クラスの大きな志を持ちたいものですね。
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