仏教に学べ!”大志”を抱くススメ 大きな超越との遭遇があなたを変える

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日本の仏教は大乗仏教であり、日本人の思想の基底には大乗仏教の考え方が流れていると感じています。大乗仏教の特徴は、自分が悟ること以上に、他者を救うことに主眼が置かれることです。自分だけでなく、衆生を救うことを目指すということで、「大きな乗り物」なのです。

浄土系寺院の本尊となっている阿弥陀仏は、仏になる=覚りを開く以前は、法蔵菩薩という名の菩薩でした。法蔵菩薩は、自分が仏になる=悟りを開くことを得る前に、「あらゆる人を救いへと導くことができなければ、自分は決して成仏しない」と誓いを立てました。「あらゆる人を必ず救う」という志ほど大きな志を、私は知りません。

小志を大志にかえる強烈な体験

この本でも志のサイクルを促進する重要な体験のひとつとして、哲学や思想・宗教との出合いが挙げられていますが、私自身が仏道を歩む日々の中で、宗教が自分の志に大きく影響していることを実感しています。自分の器が粉々に砕かれるほど大きな超越との出合いが、小志を大志に変えるのです。偉大な経営者になればなるほど、その晩年に語る言葉は神仏に触れることが多くなり、宗教者のような雰囲気を帯びてくるように思いませんか。それは、企業経営も最後は神さま仏さまにすがるしかないというような話ではありませんね。

人としての器が大きくなるにつれ、神仏の物語を、遠く離れた神仏のこととしてではなく、ほかでもない自分のこととして受け止められるようになるからだと思います。

菩薩クラスの大きな志を持ちたいものですね。

松本 紹圭 光明寺 僧侶

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まつもと しょうけい / syoukei matsumoto

1979年北海道生まれ。本名、圭介。浄土真宗本願寺派光明寺僧侶。蓮花寺佛教研究所研究員。東京大学文学部哲学科卒業。超宗派仏教徒のウェブサイト『彼岸寺』(higan.net)を設立し、お寺の音楽会『誰そ彼』や、お寺カフェ『神谷町オープンテラス』を運営。

ブルータス「真似のできない仕事術」、Tokyo Source「東京発、未来を面白くするクリエイター、31人」に取り上げられるなど、仏教界のトップランナーとして注目される。2010年、南インドのIndian School of BusinessでMBA取得。現在は東京光明寺(komyo.net)に活動の拠点を置く。2012年、若手住職向けにお寺の経営を指南する「未来の住職塾」を開講。全国各地で各宗派から意識の高い若手僧侶数十名が「お寺から日本を元気にする」志のもとに集結し、学びを深めている。

著書に『おぼうさん、はじめました。』(ダイヤモンド社)『"こころの静寂"を手に入れる37の方法』(すばる舎)『お坊さん革命』(講談社プラスアルファ新書)『お坊さんが教えるこころが整う掃除の本』(ディスカヴァー21社)『脱「臆病」入門』(すばる舎)など。
 

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