セブン初の店舗刷新、狙うは「お総菜」拡充だ

独走するセブン-イレブンの次の一手とは?

入り口を入ると冷凍食品があり、これを見た顧客は今夜の食事のメニューを考えることになる。奥に進めば、拡張されたカウンターにおでんなどが並んでおり、総菜類も豊富だ。夜の食事を基本にすると、もう1品、ついで買いをする確率が高まるので、客単価も高くなるという仕組みだ。

新しい店舗レイアウトでは、雑誌コーナーに惹かれて来店した単身男性客の比率が低下し、女性客の割合が高まることになるかもしれない。ちなみにセブンが試験的に新レイアウトを導入した店舗では、ファストフードの販売が大幅に伸び、店舗の日販(1日あたりの売上高)は7%拡大。利益率は0.4%向上したとされる。

同社では、今期中に新レイアウトの店舗を新店で1000店、既存店で800店、展開する予定となっており、2021年までには約1万店が新しいレイアウトになる。仮に全店舗(1万9500店舗)が新レイアウトになり、売上高が7%拡大したと仮定すると、筆者の試算では、本体であるセブン&アイ・ホールディングスには600億円の利益がもたらされることになる。あくまで理屈上だが、セブンの株価は15%ほど上昇する余地が出てくる。

ファストフードの大幅な拡充は諸刃の剣

これほどの効果があるのなら、競合他社もすぐに真似しそうだが、そうはいかないだろう。店舗の商品構成を変えることは実は簡単ではないのだ。先ほど説明したように、ファストフードは多数の来客が見込める場合に限って高い利益をたたき出すが、来客数が見込めない場合には逆に利益率を下げてしまう。

しかもファストフードは消費期限が短く、商品が売れ残ってしまえばすべて廃棄しなければならず、場合によっては収益の足を引っ張りかねない。

つまり、ファストフードの大幅な拡充は諸刃の剣であり、もともと販売力の高いセブンだからこそ決断できるという側面がある。サークルKサンクスと経営統合した新生ファミリーマートは、LINEと提携を発表するなど、あらたな集客手法を模索しているが、その最大の理由は来店者を増やすことにある。来店者が増えれば、利益率の高い商品をたくさん販売できるからである。

こうした視点で各社を眺めて見ると、相対的に来客数が少なく、店舗の収益力もそれほど高くないローソンはかなりの苦戦を強いられるかもしれない。

(文:加谷珪一)

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