セブン初の店舗刷新、狙うは「お総菜」拡充だ 独走するセブン-イレブンの次の一手とは?
従来のセブンの店舗は、入り口を入ると左手にレジカウンターがあり、右手に雑誌が配置されるというケースが大半だった。雑誌を立ち読みする人が外から見えるようにして、歩行者に来店を促す仕掛けである。カウンターの近くには、お弁当やチルドの棚があり、カウンターの反対側には飲料が入る大型冷蔵庫が配置されることが多い。物件の間取りにもよるが、基本的にはどの店舗も同じ方針に沿って商品が配置されている。
新レイアウトの店舗では、入り口の右側に雑誌があるという点は同じだが(店舗によってはイートインも検討している模様)、雑誌のスペースは大幅に縮小され、入り口の左側は冷食の棚となった。レジカウンターは奥に移動し、おでんや揚げ物、コーヒーを拡充するためカウンターが3割ほど長くなっている。雑誌スペースが縮小し、冷凍食品とファストフードが大幅に増えていることが分かる。
レイアウトを変えると株価が15%上昇する?
今回のレイアウト変更でセブンが狙っているのは、客単価と利益率の向上である。セブンの1店舗あたりの平均的な年間売上高は2億3000万円に達するが、これは競合他社と比較して突出して高い(例えばローソンは約1億6000万円程度)。その理由は店舗の立地の良さから、もともとの来客数が多く、それをうまく活用して単価の高い商品を販売できているからである。
このところ女性の社会進出の本格化など、日本人のライフスタイルが大きく変化しており、家で料理を作るケースが少なくなっている。これまでの時代なら食材はスーパーなどで買うケースが多かったが、コンビニに冷凍食品が並べば、コンビニですべての買い物を済ませる人も増えてくるため、さらなる売上高の拡大が見込める。
セブンの最終的な目的は、ファストフード類の販売拡大だろう。コンビニの商品は種類ごとに利益率が大きく異なっているが、単価が高く、かつ利益率も高いのは、弁当や総菜などファストフード類である。おでんなど店内での加工が増えるほど利益率が高くなってくるので、販売数量が大きくなるとさらに収益に貢献する。
一方、飲料や菓子などの加工食品は、本部がいくらで仕入れたのかによって利益率が一意的に決まってしまうことに加え、単価はそれほど高くない。販売数量が見込めればという条件付きだが、ファストフードの比率を上げると、店舗の業績は拡大する可能性が高いのだ。