民主党にいじめられ、利益「倍返し」
住友大阪セメント・関根社長に聞く
――住友大阪セメントは、前身の磐城セメントが日本初の生コンクリート製造を東京スカイツリーの敷地である東京・業平橋で1949年に始めた縁で、スカイツリーの基礎工事に生産品が多く使われたと聞いています。セメントの役割や製造技術について、一般には知られていないことがありそうです。
当時、業平橋から出荷された製品で、地下鉄銀座線や丸ノ内線が建設されました。その後、高度経済成長期から今日まで、ゼネコンが要求するスペックに合わせた製品を開発して納めることの繰り返しで、業界各社が競ってきました。需要が減った今日では、どうやって安く製造し、安定供給するかというコスト面の経営課題が優先されており、循環型社会の形成につながる産業廃棄物を原料に用いた技術の進化も特徴の1つとなっています。
大いなるローカル産業というネック
――廃棄物原料では、被災地の岩手県久慈市や野田村、宮城県石巻市の震災ガレキをグループの八戸セメントが広域処理したそうですが、実際のところ、こうした被災地の復旧・復興需要は数年後には一巡します。セメント需要がふたたび減少することを想定して、どういう投資が必要でしょうか。
国内では、老朽化した設備を順次取り替えています。一基6億円かかるドイツ製のキルン冷却装置を導入すると、サイズは同じでも生産能力がアップし、燃料の石炭使用量を節約することができます。また、お客さんのもとに製品を届ける専用船は今治の新来島どっくにおいて23億円をかけて建造中で、来年の2月末に就航させる予定です。すでに昨年13億円を投じて完成した名古屋港の多目的サイロを活用して、安定供給という責務をしっかりと果たしたいと考えています。
――競合他社の設備や船を譲り受けたり、M&Aによる国内で規模拡張路線はとらないのでしょうか。
日本のなかでは難しい。セメント産業は工場に地名がつくように、大いなるローカル産業であることがネックだからです。狭いエリア内で売りさばくように各社の工場を立地し、そのエリアの廃棄物を取り込んで原価を下げる仕組みができています。
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