住友大阪セメントがレアメタル不要の電池材

特需後にらみベトナムで育成

国内市況が好転し、単価値上げもあって採算が急改善しているセメント業界。「国土強靭化」をスローガンとする自民党・安倍政権の発足も追い風となり、国内セメント需要は2008年度以来遠ざかっている年間5000万トンへの水準回復すら不可能ではない様相が漂ってきた。

これはセメント業界にとって、東日本大震災が起きる前には考えられない好況ぶりだ。震災前には、セメント内需は年間4000万トンで底ばいが続く、という長期不況が前提だった。各社は、セメント生産の縮小合理化と多角化部門の育成に取り組んできた。

そうした中で、非セメント部門の有望な事業を絞り込んで海外に打って出たのが、国内シェア約2割で業界3位の住友大阪セメントだ。

その代表例が、12年にベトナムでリチウムイオン2次電池用の正極材の生産を開始したこと。ベトナムの生産拠点は同社の100%出資子会社であり、住友商事が現地国営企業と共同開発するハノイ近郊の工業団地「タンロン2」に建設された(写真)。昨年11月からは年間1000トンの生産目標で稼働を開始している。

タンロン工業団地にはパナソニックがR&Dセンターを有する生産拠点を置くほか、キヤノン、HOYA、京セラなど、有力な日系メーカーがアジアでの生産拠点として重点投資を行っていることでも知られる。

化学大手に伍して大化けも

リチウムイオン2次電池用の正極材料は、日本の大手化学メーカーが原材料の開発・生産で世界をリードする分野。その用途は、家電や自動車など民生用を中心に広がっている。住友大阪セメントは、大手化学メーカーとは競合しない産業向けや、公共用途で活用される大容量の蓄電システムに焦点を当てて、正極材料の開発・生産に力を注いできた。

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