住友大阪セメントがレアメタル不要の電池材

特需後にらみベトナムで育成

同社は、約10年前からナノ粒子の研究開発に取り組んできた。この成果の1つが正極材料で、現状の生産規模は小さいものの、大手化学メーカーに伍して大化けする可能性もある事業分野となっている。

というのも、同社は、数ある正極材料のなかで、安全性や耐久性に優れる「オリビン型リン酸鉄リチウム」(写真)で勝負に出たからだ。それも量産化する場合の採算面や将来性などを考慮して、ベトナムを拠点に選んだ。

レアメタル使わず、耐久性もウリ

リン酸鉄リチウムは豊富な資源である鉄を使うため、レアメタルであるコバルトを使用する従来の正極材に比べて資源的な制約が少ない。放電率には課題が残るものの、オリビン系という頑丈な結晶構造なので、急速に充放電しても痛みにくく、爆発事故へのリスクも小さいなど、耐久性が売り物だ。使い切ることができ、高容量で長寿命なことも特性だ。動力のバッテリー向けとして有望視される。

これまで、住友大阪セメントは、大和ハウスグループが3割出資するベンチャー企業のエリーパワー社の蓄電システム向けに、リン酸鉄リチウム電池向け正極材を国内で生産してきた。それを1年後にはベトナムでの生産を年間2000トンに倍増させる計画であり、生産した正極材は主にエリーパワー向け供給拡大に仕向けられる見通しだ。

ベトナム工場は、設備を増設する敷地を有しており、エリーパワー社以外の蓄電デバイスメーカーへの安定供給も目指している。

たとえば、携帯通信の基地局やコンピュータのバックアップ電源用などが有望だ。ハイブリッド社や電気自動車に搭載する電池への用途開拓も行っている。さらに、鉄だけでなく、マンガンを活用した次世代のリチウムイオン2次電池用の正極材に関しても開発段階をステップアップし、幅広いユーザー層を獲得していく方針だ。

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