聖心女子に娘を通わせたいお受験ママの心理 圧倒的な箱入り感!
――そういった教えを、子どもたちは具体的にどのような形で学ぶのですか?
「そうですね……」と、綾香さんはしばし考えを巡らせたのち、こんなエピソードを教えてくれた。
「例えば、学内で悪いこと……誰かの物が失くなったとか、誰かが誰かの物を壊したとかいう問題が起こったとしますね。そういう時でも、絶対に犯人探しをしたりはしません」
犯人を探さず、どうやって解決するのだろうか。取材班が首をひねっていると、綾香さんは言葉を続けた。
「聖心ではキリスト教の教えに則り、罪は罰するのではなく赦すもの。誰かを問い詰めるようなことはせず、先生は自責の念に響くお話をして子どもたちを諭します」
なるほど、非常に素晴らしい教育方針である。
――しかし、そのやり方が通用するためには、そもそも子どもたち自身に「良心」というものがしっかりと育まれている必要がありますね?
取材班の言葉に、綾香さんは大きく頷いた。
「ええ。ですから、初等科の試験ではまさにそこを、見られているように思います」
見られているのは、「家族愛」
――聖心初等科のお受験では、どういう点を見られるのでしょう?
その質問に、綾香さんは「私の主観ですが」と前置きをしてからこう断言した。
「家族愛、だと思います」
それは、まさにご自身が初等科お受験を経験して感じたことなのだと言う。
「これは私の実体験なのですが、初等科のお受験で、“お受験が終わったら何がしたいですか?”と聞かれたんです」
――なるほど。綾香さんは何と答えられたんですか?
「家族で遊園地に行きたいです、と答えました。その時、校長先生がにこやかに微笑みかけてくれたんです。子どもながらに“正解したんだ”と思いました」
子どもは正直である。
咄嗟の質問に対する答えから滲み出る、家族愛。