アッカの優秀な人材をモバイルでも生かしたい−−千本倖生イー・アクセス会長
-- 今年1月、イー・アクセスはアッカに対し取締役退任を求める株主提案を行った。その目的は企業価値や株主価値の向上で、経営統合が前提ではないとしていたはずだが。
共にADSL回線のホールセール事業を行う会社として、われわれはアッカさんをほかのどこよりも理解している。初めてアッカの株式を買ったときは株価が20数万円で、そのときでも安いと思った。完璧に純投資だった。
しかし、株式市場はアッカのポテンシャルを評価せず、株価が下落していった。今年に入り、不当に安い株価に対し、もう少し力を発揮してもらいたいと思い、(株主提案という形で)ステートメントを出した。それを受け、アッカさんは2月に経営陣を刷新した。
-- 純投資の位置づけが変わったのはいつ頃だったのか。
新しい経営陣である須山勇社長、塚本博之取締役、廣野公一取締役は、以前の経営陣と比べて明らかに前向きな経営をしていることがわかった。(イー・アクセスの)深田浩仁社長と須山社長はお互いエンジニア同士ということもあり、私が期待したよりもはるかにいい関係を築くことができた。これならば株価の改善ができるような話もできるし、戦略的投資に変えてもいいんじゃないかと判断した。
-- 増資発表の一方で、アッカの第2位株主だったNTTコミュニケーションズは株売却の意向を公表している。
今回の業務・資本提携が成功したのは、NTTコミュニケーションズがわれわれの動きに理解を示してくれたことも理由のひとつだ。
-- 提携でADSL事業の効率運営を進め、そこで得られた利益を新しい事業に投入するとしている。イー・アクセスグループとしては、どのような戦略を持っているのか。
これからはモバイルブロードバンド世界でしっかりした事業をしていかないとダメ。アッカさんはすでにイー・モバイルの移動通信回線網を利用して通信サービスを行っている。固定通信、モバイル、その融合や先を見据えて、2社で事業をやればもっと大きな絵が描ける。通信事業者としてモバイルをやらないと将来の夢がない。今回の提携でアッカさんの優秀な人材をモバイル分野へ投入できる。モバイルをやりたいという若い人たちが多いと聞いている。われわれを助けてもらいたい。
-- モバイル関連では、格安の超小型PCとイー・モバイルのデータ通信カードのセット販売が好調なようだが。
売り場に火が噴いた。データ通信カードとPCを一緒にして売ったところ、1+1が5ぐらいになった。アイフォーンより売れている。
(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)
せんもと・さちお
1942年生まれ。66年京都大学卒業、日本電信電話(現NTT)入社、第二電電(現KDDI)の共同創業から副社長を経て、99年イー・アクセス創業。現在はイー・アクセス会長兼イー・モバイル会長兼CEO。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら