大磯プリンス「通年リゾートへ脱皮」の舞台裏 想像以上の「ラグジュアリー空間」に変わった

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そして、3つ目のバリューアップとなるのが、7月15日に新規オープンした温泉・スパ施設だ。客室棟の横に新設されたスパ棟の1階には、ホテルフロント、レストラン・バーを設置した。

温泉・スパ施設「THERMAL SPA S.WAVE(サーマル スパ エス ウェーブ)」は、スパ棟3階および4階を占め、天然温泉である「大磯温泉」を楽しめる3階の「温泉フロア」、水着着用エリアである4階の「スパフロア」からは、それぞれ湘南の海を一望できる。

中でも話題になりそうなのは、スパフロアに設置された、水平線に溶け込むようにデザインされ、海と空と一体になったような解放感を味わうことができる温水プール「インフィニティプール」だろう。

このほか、スパフロアには、ジェットバス、広大な水平線と富士山を楽しめるパノラミックサウナをはじめとする温度帯の異なる複数のサウナなどが設置されている。

今回の一連の工事では、客室棟であった1号館と2号館を取り壊し、その跡地にスパ棟を建て、3号館客室をリニューアルした。スパ棟の建設に23億3000万円、客室の改修に7億3000万円かかり、総工費は30億6000万円に上るという。

五輪選手村にする構想は?

ところで、大磯プリンスホテルといえば、昨年の夏頃に流れた「大磯プリンスホテルを五輪選手村に」というニュースを思い浮かべる人が多いのではないか。

2020年東京オリンピック・パラリンピックのセーリング競技の会場が江の島(藤沢市)となるため、比較的交通のアクセスが便利な大磯プリンスホテルに五輪選手村を「分村」する協議を五輪組織委とプリンスホテルで進めるという話だ。

しかし、県およびプリンスホテルに確認したところ、この話についてはいまだに「協議中」であり、7月の取材時においては正式決定ではないという。

また、筆者は、大磯プリンスホテルの一連の工事のうち、特に客室の改装は、五輪に向けての整備が主な目的だと思っていたが、プリンスホテルの話では、「オリンピック・パラリンピックがあるからリニューアルを進めたわけではなく、この点は切り離して考えている」という。

では、少なからぬ投資となる、今回のバリューアップ工事の狙いはどこにあるのか、総支配人の伊丹氏に聞いてみた。

「大磯は、今まで“夏のリゾート”というイメージが強く、大磯ロングビーチが主でホテルは従という関係だった。新しいスパ施設をつくることで、夏限定のリゾートというイメージを払拭し、“通年型のリゾート”としてお客様に来ていただく狙いがある。

また、大磯は、横浜・鎌倉・箱根という神奈川県の三大観光地のうちの鎌倉と箱根の中間に位置する。当社は、鎌倉と箱根にも施設を有することから、大磯プリンスホテルをバリューアップすることで、このエリア全体でシナジー効果を生み、盛り上がることを期待している」と話す。

ちなみに、プリンスホテルは、7月22日に箱根の「芦ノ湖畔蛸川温泉 龍宮殿」の本館を、温泉施設「絶景日帰り温泉龍宮殿本館」としてリニューアルオープンする予定だ。

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