山本太郎はネットの使い方がうまかった
民主党の細野豪志前幹事長は、ボクも登壇した学生向けのパネルディスカッションで、初の本格的ネット選挙終了後の感想として、「一定の効果」があったと表現しましたが、それを語る表情には悔しさが見え隠れしていました。
それもそのはず、今回の参院選で民主党は、ネット選挙解禁の立役者の一人である鈴木寛氏が死守しなければならなかった東京選挙区の議席を失ってしまったからです。
背景にはさまざまな要因があるし、鈴木氏の考えに共感していたボクがとやかく言うことではありませんが、もし二大要因を挙げるとすれば、それはやはり「党内分裂」と「ネット選挙」でしょう。
党内分裂や管直人元首相と党執行部の対立は報道のとおりなので、ここでは略します。
ネット選挙が敗因となったとボクが見る理由として、まず大きいのは「ネットの利点の見誤り」です。鈴木氏はツイッターやニコニコ生放送などをかなり活用していて、全候補者のなかで見ればアグレッシブだったかもしれません。しかし、ここで述べたいのは鈴木氏を押しのける形で当選した山本太郎氏との比較です。
「脱原発」をスローガンに掲げ、2012年末の衆院選敗北後も破竹の勢いで進み続けていた山本陣営は、ネットの使い方で鈴木氏よりも数百枚うわてでした。両者は驚くほど正反対の使い方をしています。
発言内容で勝負のすずかん、動画ダダ漏れの山本太郎
鈴木氏は、ツイッターで自分の意見を発信し続け、ニコ生で毎晩のように各界の著名人と対談をしていました。発言内容の質も深さも、ほかには類を見ないもので、とくに有識者からの評価はとても高かったように感じます。これは鈴木氏のウエブサイトに掲載されている多くの人びとからの推薦文を見てもわかります。
一方で、山本氏のツイッターを見ると、奇妙なことに気づきます。「山本太郎 参院選 密着映像配信開始!」という文言の後ろに、ネット中継サービス「ツイキャス」のURLが添付された、同じようなツイートばかりが並び、文字として彼の意見が展開された形跡はあまりありません。
配信される動画も、見る人のために作られたクオリティーの高いコンテンツというよりは、選挙運動をスマホでダダ漏れしているようなもので、これといって有権者にアピールしている印象はありませんでした。
しかし、山本氏には本人の発信ツールより何倍も強いネットの味方がつきました。
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