NHK「クロ現」の生命保険特集は、秀逸だった 「商品ありき」ではない番組作りに好感

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したがって、保険に入るのであれば、「掛け捨て」を積極的に評価すべきなのです。その点、貯蓄は、自分が払ったおカネが、将来、自分に戻ってくるものなので、保険独自の仕組みを必要としていません。また、一般に貯蓄性が語られる保険商品の手数料の高さは、金融商品の中でも破格で、決定的なマイナス要因です。

長期金利の低迷が続いていることもあり、近年は「外貨建て保険」や投資信託で運用する「変額保険」に活路を見いだす会社や代理店も増えていますが、やはり手数料が高いため、貯蓄目的での利用は避けたい商品であることを強調しておきます。

将来「卒業」することを前提に

5 結局、検討に値するのは2種類?

番組に登場した有識者が「検討に値する生命保険」としてあげていたのは、一定期間の「死亡」に備える保険と、病気やケガで「就業不能」状態が続く場合に備える保険の2種類でした。

前者は自立していない子どもがいる世帯主には必要だと考えられます。後者は、子どもがいない人でも検討に値するはずです。どちらも、現役世代には起こりにくい事態なので、手ごろな保険料で大きな保障が得られます。筆者も、一般の個人が検討すべき保険は、この2本くらいだと認識しています。他にあげるとしたら、相続対策が必要な人にとっての「終身保険」くらいでしょう。

最後に、番組で「ユニークなミニ保険」として紹介されていた「痴漢冤罪」や「孤独死」などに備える保険は、大変興味深い一方、取り扱う会社の情報開示が物足りない点は、有識者が指摘していたとおりだと感じます。

ミニ保険は、保障の対象を絞ることにより、安い保険料で「少額・短期」の保障を持てる点に特徴がありますが、筆者は、保険活用の基本は、将来の「卒業」を前提に、安い保険料で「高額・期間限定」の保障を持つことだと考えていることも付記しておきます。

ともあれ、総じて「商品ありき」ではない番組作りに好感を持ちました。読者の皆さまの保険との付き合い方に関しても、再考していただくきっかけになると良いと思います。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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