NHK「クロ現」の生命保険特集は、秀逸だった 「商品ありき」ではない番組作りに好感

✎ 1〜 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 23 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2 保険の利用がふさわしいリスク

保険アナリストの植村信保さんが、「保険の得意分野」という言葉を用いていらっしゃったのが印象的でした。筆者は数年来、

――保険の利用が向いているのは?

1. めったに起きないこと
2. 起こった時の経済的打撃が大きいこと
3. いつ起こるかわからないこと

この3点を満たすケースであると説明することにしています。

「年齢とともに高まるリスク」はすべての人にある

言い換えれば、保険は「発生しがちな事態」などの備えには不向きなのです。一般に高齢になってからの入院など、「ひとごととは思えない事態」に保険で備えたがる人が多く、営業サイドも「年齢とともに高まるリスク」などを強調しがちですが、勘違いしてはいけないと思います。

実際、ファイナンシャルプランナーの内藤真弓さんは、子どもが独立する55歳の女性に「保険からの卒業」を説かれていました。番組で「いきなり大胆なアドバイスが飛び出した」と紹介されていたのは、何かしら(民間の)保険に入っておくのが当たり前のような認識が浸透しているからでしょう。

筆者は、そんな考え方からも卒業したほうがいいと思っています。保険の使い勝手がいいのは、老後が視野に入ってきた世代ではなく、幼い子どもがいる若い世帯主が急死するようなまれな事態に備える場合だからです。

子育てが終わった人などは、「保険に縛られなくてもいいんだ(内藤さんにアドバイスを受けた女性の感想です)」という認識が広まるといいと思います。

3 保険販売に携わる人と顧客との「利益相反」

金融庁の平成27事務年度「金融レポート」を引き、金融機関や保険ショップなどの代理店が、手数料が高い商品の販売に注力する傾向があることも伝えられていました。

保険会社は銀行や証券会社に、拡販してほしい商品の手数料を上乗せしたり、実績をあげた販売員に旅行や賞品を提供することに触れた後、保険ショップに勤務していた人が、そんな実情について、正直に証言する場面もありました。

次ページ顧客が手数料を尋ねていい
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事