武蔵小杉が「住みたい街」と答える人の共通点 意外?既婚の正社員女性には支持されない

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神奈川県居住者を東京都勤務か神奈川県勤務かで分けると、東京都内勤務者では武蔵小杉は19.1%で3位。神奈川県勤務者では10.1%である。横浜・川崎居住者に限ると東京都内勤務者は武蔵小杉が24.3%にもなり2位。神奈川県内、特に横浜、川崎に住み、東京に通勤するビジネスパーソンにとって武蔵小杉が住みたい街として非常に人気があることがわかる。 

しかも千葉県居住者でも東京都勤務者は12.5%が武蔵小杉に住みたいと回答しており、やはり通勤の便利さが人気の大きな要因であることがうかがえる。

南武線の街から東横線の街へと変身

確かに、交通の便は抜群にいい。東急東横線と湘南新宿ラインで渋谷、新宿、池袋へ、横須賀線を使えば東京、新橋、品川へ、さらには東急目黒線で六本木、四ツ谷などに直通するのだから、共働きで勤務先が異なる夫婦にとっては住みやすい。しかも、JR蒲田から京急蒲田に乗り入れるという計画が実現すれば、羽田空港に直結し、JR成田線に乗れば成田空港にも直行だから、ビジネスパーソンにはまことにありがたい街なのだ。

街のイメージ戦略も成功している。武蔵小杉といえば、ある一定以上の世代から見れば南武線沿いの工場の街だ。しかし、現在の横浜市や川崎市に住む正社員未婚女性にとって、武蔵小杉は南武線から東急東横線の拠点駅というイメージに変貌。その結果、二子玉川と並ぶ「住みたい街」になったのである。東急電鉄の戦略が見事に功を奏したと言えよう。

三浦 展 社会デザイン研究者

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みうら あつし / Atsushi Miura

カルチャースタディーズ研究所主宰。1958年生まれ。1982年に一橋大学社会学部卒。パルコに入社し、マーケティング誌『アクロス』編集室。1990年に三菱総合研究所入社。1999年に「カルチャースタディーズ研究所」を設立。消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。 著書は、80万部のベストセラー『下流社会』のほか、『第四の消費』『日本人はこれから何を買うのか?』『東京は郊外から消えていく!』『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』『あなたにいちばん似合う街』など多数。

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