乗り継ぎ時の「初乗り運賃」加算はおかしい 東京の鉄道は今こそ「ゾーン制」を採用すべき
パリで生活していたことがある。そのときに感じたのは市内の移動費用が東京に比べてはるかに安いことだった。パリのメトロは区間運賃がなく、すべて均一の共通運賃だ。メトロ、路面電車(トラム)、バス、郊外へ行きの電車RER線、国鉄(SNCF)線すべての公共交通がこの均一運賃で利用可能となっている。1回の移動ごとに購入する切符が1.9ユーロ(約240円)。この切符が10枚セットになったカルネを購入すると14.5ユーロで、1枚当たり1.45ユーロ(約180円)。日本の都市交通の初乗り運賃程度でパリ市内を移動できる。
1日フリーパスの価格はわずか900円
90分以内であれば乗り継ぎもこの切符で可能だが、メトロ/バス、メトロ/トラム、 RER/バス等は乗り換えできない。そこで便利なのがフリーパスだ。パリとその郊外はゾーンで区間が区切られている。パリの中心部をゾーン1とし郊外に向けて放射線状にゾーン1、2、3というように広がっている。パリ市内はゾーン1、2のフリーパスで移動可能だ。1日フリーパスは「ゾーン1-2」が7.3ユーロ(約900円)と安い。1週間用、1カ月用のフリーパスもあり、定期券代わりになる。
ソウルでは元韓国大統領李明博氏がソウル市長だった頃、都市交通の大改革を行い、その中で料金制度も一新された。首都圏電鉄という広域電鉄の概念でソウル首都圏の鉄道事業者が網羅され、路線は韓国鉄道公社・ソウル交通公社・仁川交通公社・空港鉄道等が運営する。これらの路線の運賃は通しで計算される通算運賃制度を導入している。ICカードである「T-money」を利用するとソウル市内の鉄道、バスの運賃支払いが一元化され、初乗り料金1250ウォン(約125円。切符より100ウォン割引)で10キロメートルまで乗車でき、バスと地下鉄あるいはバスとバスの乗り換え等の際にも10キロメートル以内なら追加料金はない。10キロメートルを超えると、5キロメートルごとに100ウォン(約10円)が加算される。
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