「はだしのゲン」貸出禁止にモノ申す! 言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会

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“アベ”コベな現状

今までも右派政治グループによる歴史教科書会社に対する圧力や、NHKの戦争犯罪特集に関する番組への圧力があったが、今は言論の自由への圧力が「はだしのゲン」にまで及ぶようになってしまった。

「はだしのゲン」の表現を「過激で不適切」と圧力をかけてきた団体が、白昼堂々と道端でヘイトスピーチを行う一方で、「チャンコロ(中国人への蔑称)を殺せ!」「ゴキブリ朝鮮人を皆殺しにしろ!」と叫ぶ野蛮な言葉の暴力は“言論の自由”として容認されている。

これらの不幸は、ほかの多くの国々と同様(ヨーロッパではドイツだけでなく、ほとんどの国で他民族への憎悪を煽る言動が法律で禁止されている)“他民族への憎悪を煽る言動は表現の自由の範疇ではない”と当然の法的判断をすることで解決できるはずの問題だが、それがなされないところに、政治的意図を感じる。

ゲンの記憶が、大人たちに消されていく

最近サザンオールスターズの歌でもあったが、近代史はまともに教えられずあっという間に表層をなぞって終わる、という状況が戦後70年近く続いてきた。無機的で乾燥したあの年号と歴史人物の名前の暗記だらけの無意味な教科書で、戦争のむごさや不戦への想いを育んだ人はいないだろう。

しかし「はだしのゲン」を通じて、筆者の中沢氏が伝えたかった戦争の悲惨さや原爆への怒りを、幼心の胸の痛みを通じて痛感した人も多いのではないか。戦争の教訓には、残虐行為への怒り、悲しみ、償いといった痛切な感情の共有が必要であり、心の動かない頭に入れるだけの単語や年号は何の教育にもなっていない。

むしろ中沢氏が戦争の実態を描いた「はだしのゲン」を歴史教科書に採用したほうが“戦争の悲惨さを知り、戦争を繰り返さない”という最も大切な教訓を伝える上でよっぽど効果的だろう。

しかし、この「はだしのゲン」の貴重な記憶が、教科書での歴史の暗部の記述とともに集団的忘却の憂き目にあっている。

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