ロールス・ロイスの真価問う14億円の高級車 顧客の要望に応じて1台を手作り

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

クルマの価値というものは年月と共に償却していくものではなく、逆に価値が上がる可能性を秘めたもの、不確定要素によって紙切れになる可能性をも持った株式投資よりも安全で、かつ絵画やアンティーク家具よりも価値の上昇が期待できるという見立てが行われ始めた。生産量が極めて少ない高価なクルマには将来、高い付加価値が付く可能性があると考えられ、投資案件の1つとも捉えられることになった。

ブランディング確立の三要素とは

私自身が考えるこれはブランディング確立の三要素、つまり、“独自性=希少性”、”持続性=企業としての歴史”、“伝説(ストーリー)=モデル誕生の神話や著名オーナーによる過去の所有”という要素を満たしている。もちろん、そういった自動車のレベルを超えた高額を支払うことのできる顧客を生み出す現在の経済状況があってのことではあるが。

ロールス・ロイスの業績も上々だ。2016年の全世界の販売台数は4011台と、創業113年で2番目の記録を達成し、顧客からのニーズに合わせてカスタマイズを行うビスポーク部門は過去最高を記録したという。今回のスウェプテイルの投入を武器にこのカテゴリーの売り上げも大きく拡大するのであろう。

ロールス・ロイスは「フェラーリの限定車が発表前に完売した理由」(2016年7月23日配信)で紹介したようなフェラーリが行って来た、フューオフ(数台限定)カー、及びワンオフカービジネスの動向をよく研究しながら、的確なタイミングで今回のコーチビルド・モデルを世に出して来たワケだ。ワンオフカーの王者たるロールス・ロイスの真価が試されている。

(写真:筆者提供)

越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事