フェラーリ硬派マシンは長距離でも飽きない 「カリフォルニアT HS」はどんな車か

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2014年にマイナーチェンジ。その名もカリフォルニアTへ。Tはターボの意味。高性能と環境性能の両立は、フェラーリのようなスーパースポーツブランドでも避けて通れなかったし、むしろ、その技術力の高さをアピールするうえで絶好の機会になった。エンジン排気量を落とし(=ダウンサイジング)、ターボチャージャーを付加することで、性能も燃費も大いに向上したというわけなのだから。

今回、京都に連れ帰ることにしたのは、そのカリフォルニアTのさらに硬派な仕様というべきハンドリング・スペチアーレ(HS)だ。より機敏なステアフィールと、硬めのライドフィールをもつ。FRスポーツカーとしては、今、最も“好戦的”なモデルのひとつだと言っていい。

乗っていて楽しいクルマの音と振動

もとよりカリフォルニアTといえば、グランドツーリングカーとしての素養を高く与えられたモデルだ。それゆえ、もっとスポーティな乗り方を楽しみたいという運転好き志向のユーザーから、特にアシ回りのグレードアップを望む声があった。それに応えるカタチで登場したのがHSだったから、京都に連れて帰るにはちょっと“個性違い”かもな、と最初は思っていた。

ノーマルのカリフォルニアTに比べると、確かに両腕から先の感覚が引き締まっているように思える。路面からの突き上げも、はっきりと硬質。なるほど、スパルタンな個性のカリフォルニアTだ、と判る。 

けれども、乗っていて嫌なレベルかというと、そうではない。むしろ両腕から先のフロントセクションと、腰から後のリアセクションが引き締まっているぶん、クルマを小さく感じることができて、乗り易いとさえ思われた。乗り心地だってビシッとスジが通っているから、硬いと思うのは一瞬だけで、ショックもすぐに納まってくれるから気にならない。よくできたアシだと思う。

高速道路を流れに乗ってクルージングしていると、いっそう硬めのアシの持ち主であることを忘れてしまう。硬めだが粘り強いアシが、ショックをいっぱつでまとめてくれるから、段差や継ぎ目でも不快な音や振動を生じさせない。道をよく知っているアシというわけで、極上の高速クルージング性能をもたらした。

もうひとつ、感心したことがある。それは、エンジンからドライバーへと伝わる音や振動の心地よさ、である。一定速でのクルージングは、いくら心地よいフィールであっても何百キロも続くと飽きてくるもの。

けれどもカリフォルニアTでは、適度なボリュームで決して煩過ぎず、かといって静か過ぎずにエンジンがうなりを上げ続け、ビブラートをかけたようなパワートレーンの振動も手足に伝わってきて、運転好きのドライバーの気持ちをまったく飽きさせない。クルマには、良い音と振動、悪い音と振動、がある。すべてを消してしまっては、無味無臭のつまらないクルマになってしまう。

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