500円ピザ外食チェーンの破産は必然だった 経営は「限界利益」と「固定費」で説明できる
松屋の前期年間売上高約890億円を、総店舗数1080店で割ると、1店当たりの売上高はおよそ8240万円となります。これに固定費率61.9%を掛けると1店当たりの固定費は約5100万円となります。逆にこちらは、店舗のほとんどが直営店(フランチャイズ店は6店のみ)であることから、固定費が高めになっていると想像できます。
以上3社の1店当たり固定費の平均は約4150万円です。直営店とフランチャイズ店の割合が分からなかったので含めませんでしたが、吉野家ホールディングスの決算データで同じ計算をしてみると、1店当たり固定費は約4040万円となりました。これらから、本社経費の配賦分も含めたチェーン飲食店1店当たりの固定費は、4000万円強が“相場”と考えて差し支えなさそうです。
遠藤商事の限界利益は固定費をとても賄えていなかった
一方、変動費は実際の売上高に比例しますから、遠藤商事の1店当たりの限界利益の額は3400万円×64.8%≒2203万円となります。上述の計算でもっとも固定費が低かったモスと比較しても321万円少なく、チェーン飲食店平均の4000万円には遠く及びません。したがって、遠藤商事の1店当たりの限界利益は、固定費をとても賄えない状態でした。
これに対し、例えばマクドナルドの1店当たりの限界利益は7800万円×64.8%≒5054万円です。同社の計算上の固定費4828万円や、平均値の4000万円よりも多い、つまり「限界利益で固定費を賄えている」状態ですので、マクドナルドは黒字になっています。
ちなみに、遠藤商事が損益分岐点に達するには1日何枚のピザを売る必要があったのでしょうか? これも限界利益と固定費を使えば簡単に計算できます。
目玉商品だった「500円ピザ」の1枚当たりの限界利益は、500円×64.8%=324円です。これを売ることで店舗固定費を回収するわけですから、必要な年間販売数は4000万円÷324円≒12万3500枚。これを365日で割ると1店1日339枚の販売が必要だったことがわかります。
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