500円ピザ外食チェーンの破産は必然だった

経営は「限界利益」と「固定費」で説明できる

ピザハットを運営する日本KFCホールディングスの2017年3月期決算短信によると、ピザハット事業の外部売上高は147億円、店舗数は370店となっています。標準的なピザ1枚の値段を2000円と仮定してみましょう。1店1日当たりの販売数は147億円÷370店÷365日÷2000円で約54枚となります。1日339枚がいかに過大かおわかりいただけると思います。まさに「薄利多売」とはこのことです。

「カール販売終了」を会計的に考える

倒産という話ではありませんが、長く親しまれてきたスナック菓子「カール」が東日本で販売終了になる、というニュースは大きなインパクトがありました。これも管理会計を使えば独自の視点で深掘りできるトピックスです。

報道によれば、カールは最盛期の年間売上高190億円から、現在は60億円程度に売り上げを落としているそうです。前述のTKC経営指標から「その他のパン・菓子製造業」の数値を拾ってみると、固定費率は49.2%、限界利益率は54.3%となっています。

したがって、もし最盛期の生産体制を維持していたと仮定すると、固定費は190億円×49.2%で約93億円、限界利益は60億円×54.3%で約33億円ですから、年間で60億円もの赤字を出していたことになります。実際は売り上げの低迷に合わせてある程度生産体制を縮小していたと考えられますが、今のカールが事業として存続するためには、固定費を売上60億円×49.2%≒30億円程度まで圧縮することが必須です。

これが実現して初めて、33億円の限界利益で黒字化が見込めます。報道によれば、カールは今後愛媛県の工場1カ所で2品種に絞って生産し、西日本だけで販売されるそうです。生産設備や人員構成、輸送体制などを分析した結果、カールの販売を維持できる「固定費30億円体制」はこれしかなかったということなのだと、筆者は考えています。

ずいぶんこまごまとした数字を並べてきましたが、これまでやってきた計算は割り算、掛け算といった四則演算のみです。また資料として取り上げた数字も、インターネットから簡単に引っ張ってこられるものばかりです。このように、一見高度に見える管理会計を使った経営分析も、普通のビジネスマンなら手持ちのスキルを駆使するだけで行うことができます。

数字に苦手意識をお持ちの方は、まずは自社が属する業界の限界利益率、固定費率の“相場”を知ることをお勧めします。本稿で登場したTKC経営指標を使えば簡単に調べることができます。そして、自社の数字をそれと比較し、なぜ数値が良いのか、あるいは悪いのかを考えてみてください。これまで気づかなかった自社の強みや弱点がわかり、思わぬ仕事のヒントが得られるかもしれません。

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