最後の授業 ぼくの命があるうちに ランディ・パウシュ、ジェフリー・ザスロー 著/矢羽野 薫 訳~生きる勇気、生きる喜びを与えてくれる

最後の授業 ぼくの命があるうちに ランディ・パウシュ、ジェフリー・ザスロー 著/矢羽野 薫 訳~生きる勇気、生きる喜びを与えてくれる

評者 黒田康史 YSコンサルティング代表

 読者の皆さんがもし不治の病で突然人生の終わりを告げられたら、家族や最愛の人にどのようなメッセージを残すだろうか。本書は、すい臓がんの転移であと半年の命しかないと告げられた、コンピュータ・サイエンスの世界的権威である46歳の大学教授が、愛する妻、特に3人の幼い子供たちのために残した、「人生」そして「夢の実現」についての熱いメッセージだ。

著者は、もともと母校のカーネギー・メロン大学で400人の聴衆を前に、文字どおり「最後の授業」を行ったが、そのときの様子がインターネット等、複数のメディアで大々的に取り上げられ、世界中で反響を呼んだために、本書では、「最後の授業」の講義内容をベースに、家族への愛や思い等も付け加え、講義の「つづき」をまとめている。

本書を読んでまず驚くのは、死期を目前にした著者が冷静で客観的なことだ。また究極の状況でも、著者が非常に楽観的で、人生を楽しんでいるように見えるのは、きっと今までの人生を精いっぱい生きてきたという自信から来るものだろう。

本書では、その著者の口から出る言葉の一つひとつに重みがあり、人生をいかに生きるかについての多くの教訓を得られるが、中でも、「親の役割は、子供が人生を楽しめるように励まし、子供が自分の夢を追いかけるように駆り立てること」という言葉は、子を持つ親としては、思わずハッとさせられる。また、「人生を正しく生きれば、運命は自分で動きだす。夢のほうから君たちのところにやってくる」という言葉も、彼の生き方そのものを表しており、印象的だ。最近、人生に絶望した若者の無差別殺人が後を絶たないが、大きな感動とともに人生を生きる勇気や喜びを与えてくれる本書は、すべての人々にぜひお勧めの一冊だ。

Randy Pausch
カーネギー・メロン大学前教授(コンピュータ・サイエンス)。革新的な3Dグラフィクス作成環境「Alice(アリス)」の生みの親の一人。2006年9月、すい臓がんと診断され、08年7月25日死去。

Jeffrey Zaslow
「ウォールストリート・ジャーナル」コラムニスト。

ランダムハウス講談社 1575円 256ページ

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