たとえば、「IPPUDO RAMEN EXPRESS」。ファストフードのように博多豚骨ラーメンを提供する業態だ。フードコートや駅ナカなど、狭小スペースのお店が多い。ここでは博多ラーメンにこだわらずに別メニューも展開していく予定だという。
ほかには、通常の約半分の量のラーメンや、糖質1/2の麺を提供する「1/2PPUDO(ニブンノイップウドウ)」。おいしい日本酒と締めのラーメンが同じ空間で楽しめる「一風堂スタンド」。焦がししょうゆや焦がしみそという、ラーメンを焦がすという製法に着目した「五行」。創業当時の特濃豚骨ラーメンを味わえる「SHIROMARU BASE」などがある。ニューヨークで人気の「KURO-OBI(クロオビ)」という鶏白湯のお店も逆輸入で日本進出を予定しているという。
別ブランドや別業態にチャレンジするのはなぜか
博多豚骨でここまで有名な一風堂があえて別ブランド・別業態にチャレンジしていくのはなぜなのか。清宮社長は「本当に将来が不安だ」と漏らす。清宮社長は、以前ネットで一風堂がサッカーでいうゴールキーパーに例えられていた記事を目にした。守りや安定がイメージになっているとしたら、業界の中で決して老舗ではない一風堂にとっては、かえってマイナスといえる。
ラーメン店は日本全国に約3万5000軒あるといわれる。ここまで市場が飽和状態になっている事例は外食産業にはない。消費者の趣味嗜好は多様化。「とにかく攻める必要がある」(清宮社長)のだという。
「豚骨でここまで来られたので、今後は他の可能性も探っていきたいと思っています。これからは『一風堂=豚骨』ではなくなっていくと思います」と清宮社長自身も明かすように、一風堂ブランド、豚骨1本の態勢を多様化しなければならない局面に迫られている。
新規株式公開は調達した資金を元にさらに事業成長を果たすための手段だ。一風堂がこのタイミングで上場した理由。その意図を読み解くと、ここまでのブランドを確立し、安定成長しているように見える成功者にも「安泰」という2文字は決してないことを思い知らされる。
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