「一風堂」が順調なのに危機感を隠せない事情 ブランドの多様化は飽和市場に対する武器だ

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一風堂は1985年に福岡市中央区で河原成美氏が創業した。1994年には新横浜ラーメン博物館のオープンと同時に関東第1号店をオープン。その後、河原氏がテレビ東京「TVチャンピオン」におけるラーメン職人の腕を競う企画で3連覇を成し遂げ、全国に名を轟(とどろ)かせた。

一風堂がここまで成長できたのは

ブランドに加えて一風堂がここまで成長できたのは、そのメニューが「博多豚骨ラーメン」だったからだ。博多豚骨ラーメンは、ゆで時間が他のラーメンに比べて圧倒的に短く、ラーメンの中で唯一スピード勝負ができる。

この連載の一覧はこちら

たとえば濃厚つけ麺に使われる極太麺は10分以上ゆでることもあるが、博多豚骨ラーメンなら、「かため」「ふつう」「やわらかめ」などお客の要望へ柔軟に対応しても平均1分もかからない。これだけゆで時間が短いと回転がよく、客数も多く取れるので、出店の可能性がいろいろ広げられる。

豚骨スープは海外を攻めるうえでの武器になっている。海外はダシ文化がないことが多く、しょうゆや塩などの特に清湯系のあっさりラーメンはなかなかうま味が伝わりづらいが、豚骨のうま味成分は海外のお客にもわかりやすい。

清宮俊之社長

一風堂の商品開発ノウハウには、素人がパッと見ただけではわからない深みがある。ラーメンはずっと同じ味ではなく、時流に合わせ、つねに調整をし、新たなものを生み出している。麺も細かく変えている。

象徴的なのは、2015年10月の創業30周年を機に、看板メニューである「白丸元味」「赤丸新味」は完全リニューアルしたことだ。スープ、麺、チャーシューに至るまですべてを変えた。食べるときによく見るとわかるが、白丸は丸い麺(丸刃麺)、赤丸は角切り麺(角刃麺)になっている。

順調に見える一風堂だが、国内における成長には課題も見え隠れする。清宮俊之社長は上場時「2025年までに国内300店舗、海外300店舗を目指す」という目標を示した。その内訳に一風堂の危機感が表れていた。国内300店舗のうち150店舗が一風堂、残りの150店舗を別ブランド・別業態で展開していくという戦略なのである。

次ページどのような業態なのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事