結婚とは他人同士が夫婦として一緒に住み始めること。生活習慣の違いに戸惑うのは当然だ。たとえば、食器の洗い方が不十分だとしかられたりする。「言われてみれば汚いな。もっと丁寧に洗おう」と思えたり、適当に受け流すことができれば問題は起きない。
しかし、人との付き合い方や仕事への姿勢、おカネの使い方などの根本的な部分で、「ありえない」と幻滅することが重なると、愛情が急速に冷めていく。一緒にいて居心地の良さを感じるどころか、お互いの人格や育ちを否定するような言い争いが増えたりする。最も安心して過ごしたい場所である自宅で心からくつろげない。ちょっとした地獄だと思う。
やっかいなのは自覚症状があまりないことだ。仲の良くない夫婦生活でもずっとケンカをしているわけではなく、ちょっとうれしいこともあったりする。配偶者を好きかと問われて「大好きです」と即答できないけれど、嫌いというわけでもない。せっかく結婚したのだから離婚などはしたくない。恥をさらしたくないし、手続きは面倒だし、祝ってくれた人にも申し訳が立たない。だから、このまま暮らしていこう……。
険悪な夫婦関係を10年間も続けた
東海地方のある町に住んでいる飯島直人さん(仮名、40歳)は、昨年の秋に再婚した晩婚さんである。10年間結婚していた前妻とは結婚直後から不仲だったと振り返る。ようやく離婚したのは36歳のとき。そもそもなぜ結婚したのか。そして、険悪な夫婦関係を10年も続けた理由は何なのだろうか。
「前の嫁は地元のつながりです。友達と飲んでいたときに合流して来て、僕のことを気に入ってくれました。すぐに付き合って、2カ月後には子どもができました。そのことはうれしかったですよ。じゃあ結婚しなくちゃいかんね、という話になりました」
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