雨の日、まず家を出る段階で悩むのが、「靴選び」だろう。
ビジネスシーンで基本となるのは、もちろんレザーシューズ。だが問題は、革が水に弱いことだ。雨に塗れると革は汚れ、油分が抜ける。その結果、靴に余計なシワが入ったり、カビが生えたり、場合によってはひび割れることもある。
「中でも、靴底に革がはられたレザーソールの靴は避けたほうがいいでしょう」と教えてくれたのは、松屋銀座紳士MD課バイヤーの黒岩真一さんだ。なぜだろうか。
「レザーソールはぬれると滑りやすく危ないというのが大きな理由の1つです。しかし、それ以上に、ソールが水を吸ってしまい、じわじわと靴の中にしみ込んでしまいます。アッパー(ソールの上についた靴の上部)まで水がしみてしまうと、アッパーをただ濡らすよりもずっと革に悪影響を与えてしまいます」(黒岩さん)
したがって、雨の日、あるいは「今日は降りそうだ」というときは靴底がゴム製の「ラバーソール」の靴で出掛けるのが正解だろう。ラバーなら靴底からしみ込むことはないし、滑りにくい。
実はスエードは「雨に強い」素材だった
アッパーも、雨に強いタイプがある。水を弾くような撥水性の強いオイルドレザーを使った靴や、靴のインナーにゴアテックスなどの防水でも透湿の素材を使って、内側の濡れを防ぐのがそれだ。最近は、革をなめす段階でフッ素などを混ぜ込んで、半永久的に撥水効果を保つレザーも見られるようになった。
「かつて撥水レザーというと質感が悪いものが多かったのですが、最近は晴れの日に履いても見た目の違和感がない良品が多く出てきました。もちろんアッパーすべてがゴムでできたビジネス用のレインシューズもあり、防水だけなら最強です。ただ、やはり通気性が悪く、独特な質感が気になることもあります。土砂降りのときはともかく、小雨や降ったり晴れたりの日には使いにくいのが難点ですね」(黒岩さん)
また、もう1つのオススメ素材がある。革の裏側を起毛させた「スエード」だ。
「スエード? しみになるし、色落ちするだろ!」とお叱りの声があるかもしれない。しかし、最近、スエードが雨に強い素材として、靴業界では定番になっているのだ。実はスエードの毛羽立った表面が、雨水を弾きやすいのだという。事前にスエード用の防水スプレーをしっかり吹きつけておけば、雨を驚くほどはじいてくれる。
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