「その見た目から、スエードを『秋冬の素材では?』と思われる方もいらっしゃいますが、実際は表革よりも通気性がよく、夏向きの素材でもあるんです。カジュアルな趣があるので、ノーネクタイやポロシャツ姿になるクールビズスタイルにも合わせやすいのです」(黒岩さん)
とはいえ、最も大切なのは濡れた後のアフターケアだ。レザーシューズを濡れたままにしておくと、水滴が乾燥するのと同時に革に含んだ油分が抜ける。それに伴って革が乾燥しすぎて弱くなり、ひび割れることがあるわけだ。肌と同じである。洗顔後は、しっかりと水滴を拭き取らないと、むしろ乾燥するのだ。
「まずは、濡れた靴をしっかり乾かすことです。最初にタオルなどで靴についた雨水を拭き取る。中まで濡れている場合は、新聞紙などをつめて陰干しします。乾いた後はリムーバーで汚れや前に塗ったクリームを落とす。その後、改めて靴クリームを塗って、ブラッシングして磨きます。濡れた後にこうしたケアをするかしないかで、靴の寿命はまったく違ってきます」(黒岩さん)
ちなみに、靴の水滴を拭き取るときは、なでるのではなく軽く叩くようにして取るのが正解だという。ゴシゴシとこすると革を傷めてしまうからだ。ちなみにジャケットやかばんなどが濡れたときも同様に、軽く叩くようにして水滴や水気を取り除く。これをやるだけでも傷みにくくなるという。
傘は「さしていないとき」こそ細心の注意を
雨の日の必需品である傘には、さらに気を配りたい。もっとも、気を配らなくてはならないのがどのような傘を持つかよりも、「どのように傘を持つか」だ。特に、さしているときより、駅などで「傘をさしていないとき」にこそ細心の注意を払う必要がある。
「ビジネスマンの中には、たまにブリーフケースを手持ちするかのように、傘を床と平行にヨコに持ち歩く方がいます。あれはマナー違反というより、アブないですよね」と指摘するのは『図解 社会人の基本 マナー大全』著者で、現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんだ。
「持っている自分はラクかもしれませんが、近くの人にぶつかる危険性がかなりあります。特に危ないのは、エスカレーターで傘をヨコ持ちしている人。上りの場合、後ろにたつ人の目の前に傘の先端がきますから。大ケガを負わせることもありえます」(岩下さん)。傘は必ず地面に対して垂直に、タテ持ちすることを心がけたい。
また意外とできていない人が多いのが「傘のバンドをとめて持ち歩くこと」だ。本人は「どうせすぐまたさすから……」とそのままにしているのかもしれないが、さりげなくバサバサと周囲に水しぶきをかけている可能性があるし、誰かに接触してしまうこともありえる。ビルの中や電車内でバンドをとめないのは論外だ。面倒でも、持ち歩くときは必ずバンドをとめておこう。
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