世界のエアラインが「尖ったPR」を競うワケ こぞって独自のイメージ戦略に注力

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ヨルダン国民は、このキャンペーンを受け入れ、米国便の予約数は前年比150%に向上。ヨルダン航空のウェブサイト訪問者数は300%増という驚異的な数字をたたき出した。

さらにヨルダン航空は、国内のセレブリティ12人を“セレブジャーナリスト”として米国に送り込んだ。彼ら彼女らは、思い思いに米国を旅し、その様子をソーシャルメディアで発信。ヨルダン国民も負けじと、アメリカ各地の観光地で次々と自撮りし、ソーシャルメディアに投稿する。ヨルダン航空とヨルダン国民が一体となって盛り上がった。

特筆すべきは、このキャンぺーンはほとんどコストがかかっていない点である。新たにかかった費用は限りなくゼロに近い。だが、国内外におけるヨルダン航空の評価はうなぎ上り。ヨルダン国民はもちろん、世界中が同社に注目し、ウイットに富んだ対応を好ましく思った。当然ながら、ブランドイメージを高めることにも一役買っている。

キャセイパシフィックは専用ビールをアピール

次に中東から香港に飛ぼう。キャセイパシフィック航空(香港)は、ブランドイメージの刷新に頭を悩ませていた。伝統的な航空会社である一方で、古くさいイメージもぬぐい去れない。このままでは航空需要を他社に奪われかねないと考えた同社は、世界初の「高度3万5000フィート専用ビール」の開発に着手した。

高さ3万5000フィートで最高の味わいを楽しめる専用ビールを提供(写真:キャセイパシフィック航空)

飛んでいる飛行機の中でも、私たちはビールを飲む。しかし、それは地上で飲んでいるものと同じものだ。しかし、地上から3万5000フィートも離れた上空では味覚も変わるというのが定説だ。「よき旅を」(travelling well)をポリシーとして掲げる同社は、まさに快適な空の旅を実現するための、最高のビールを大まじめに開発し始めた。

炭水化物の量や苦味、ビタミンB含有量など細部にわたるまで、専門家とともに作り上げ、ローンチにこぎ着けた。この特別なビールは、香港―イギリス間をつなぐフライトで43週間にわたって提供された。その評判は非常に高く、8割以上の乗客が同社での旅を見直したと回答。売り上げも24%向上した。現在は提供を終了したが、復活を望む声が多く寄せられており、今後は香港―オーストラリア便、香港―日本便でも提供を検討中だという。海外出張の際、お目にかかる日も近いかもしれない。

エ―ルフランスのCM

次は香港からフランスに飛んでみよう。エ―ルフランス航空(仏)は、学割特典付きの若者向けカードの利用を促進すべく、次のようなキャンペーンを実施した。ある日、学生たちのところに、遠く離れて暮らす両親からスポーツシューズが届く。なかなか手に入らない人気モデルである。学生たちは思いがけないプレゼントに大喜びしながら箱を開け、仰天する。

シューズはなぜか片方しか入っていない。そして、その傍らにはメッセージカードと、エアフランス航空の学割カードが同梱されている。メッセージにはこう書かれている。「もう片方はママが持ってるわ。早くシューズを履きたかったら、また帰ってきなさい。このカードを使えば、航空チケットが割引になるわよ」と。

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