「デリケートゾーン用」の石鹸は、なぜ必要か ボディソープがニオイやかゆみの原因にも

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「ソフィ デリケートウェットシート 無香料」実勢価格248円(写真提供:ユニ・チャーム)

「当初は、特に困っている人がネットで探して購入されていました。デリケートゾーンをケアする、という発想自体が一般的でなかったため、小売店に陳列してもなかなか手に取ってもらえない時期もありましたが、当社から生理用品と一緒に買ってもらうなど売り方の提案を根気よく続けました。また女性誌などでも洗浄剤やウェットシートなどの専用ケア商品が紹介される機会が増えたこともあり、2012~2016年までの5年間で販売個数は3倍に拡大しています。20代後半~30代前半の女性がメインユーザーです」(ユニ・チャームでフェミニンケア商品を担当する坂口祐子氏)

努力が実を結び、現在はオンラインの売り上げをリアルショップが上回っているという。生理中のみならず、ストッキングやタイトなボトムスに包まれるとデリケートゾーンは快適な状態を保ちにくくなる。おりもので悩む人もいる。そうすると、ニオイも気になる……。これは「恥ずかしいこと」ではない。多くの人が悩んでいるからこそ、国内外でこうした商品が開発されている。専用ウェットシートは、一度使えばそれまで不快感を「当たり前」と思っていた日常には戻りたくないと思うほどの爽快感をもたらしてくれる。

今年に入って専用洗浄剤の発売を開始したのが典雅「イロハインティメート ケア」だ。女性のセルフプレジャーグッズを提案してきた「イロハ」の姉妹ブランドとして「iroha INTIMATE WASH」2種類を今年3月にリリースした。

工藤まおり氏と「iroha INTIMATE WASH」実勢価格1800円(写真提供:典雅)

「当社の調査では“デリケートゾーンのことで悩んだ経験がありますか?”という問いに対し、20~30代女性の約8割が“ある”と回答しました。いままでにない習慣を新しく取り入れてもらうのは、確かにハードルが低くはありません。商品を売るだけでなく、“デリケートゾーンを健やかに保つためには、何に注意するべきか”“どんなケアが必要なのか”を同時に伝えていかなければならないと思っています」(典雅広報宣伝部の工藤まおり氏)

多くの女性に共通する悩みであるにもかかわらず、表立って語られることはない。性器の話をすること自体がタブー視されるだけに、そのケアにもネガティブなイメージがつきまとっていた。同社の商品は、女性が安心して使えるのはもちろんのこと、香り高い天然精油を配合するなどラグジュアリーな使用感へのこだわりを追求することで、従来イメージの払拭を試みているように見える。

「ケアを通して女性一人ひとりが自身の身体への意識を高め、身体的な欲求と自然に向き合っていけるようになるといいですね」(工藤氏)

10代から80代まですべての女性に必要なもの

各社の話からすると、20~30代にケア用品が浸透していくのは時間の問題だと思われる。しかし、「ラヴエル」を販売する西村さんは、デリケートゾーンケアは「10代から80代まですべての女性に必要なもの」と話す。

「たとえば産前産後はデリケートゾーンが通常より敏感になっているので、普段以上にケアが必要です。そこで当社では妊娠中・産後ママ用のせっけんも開発しました。今後の課題としては、更年期以降の女性にどう届けるか。デリケートゾーンの悩みは年齢とともに変わり、特に閉経前後からは性器周辺が乾燥してかゆみが出やすくなります。また、尿もれに悩む女性も増えます。清潔な状態を保ちつつ潤いをサポートするためのアイテムを、ほかの年代よりも積極的に取り入れていく必要がありますが、今の中高年層は性器に触れることへのタブー感が強いですね。その層へどうアプローチするのか、今後も模索していくつもりです」(西村氏)

性器の話をしたりそのケア用品を買ったりすることを「恥ずかしい」と感じる時代に、終止符を打とうとする女性たちがいる。髪や顔と同じ体の一部であるにもかかわらず、これまで無視されてきたに等しいデリケートゾーン。衛生状態を保てず不快感に耐えること自体が不毛だと知ることから、まず始めたい。

三浦 ゆえ フリー編集&ライター

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みうら ゆえ / Yue Miura

富山県出身。複数の出版社を経て2009年フリーに。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行う。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズや『失職女子』などの編集協力を担当。著書に『セックスペディア-平成女子性欲事典-』がある。

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