それではいったい全体、「一流のお茶の飲み方」とはどのようなものだろうか。
一流の「お茶の飲み方」とは、その動作が流れるようで無駄がなく、優雅にして他人への配慮が行き届いているものである。
お茶の心とは本質的には二畳一間にお茶を間に2人の人間が対峙する空間で、他者への配慮を表現することだ。
そして、「あの一見無駄に思える作法の数々が、実は最も効率的なのだ」という、いま一つ腑に落ちないお茶の先生の言い分に思い悩むよりも、共にいる人に心を配り、お互いに敬意をもって過ごすことが、一流のお茶飲みの基本であろう。
一流の「お茶の飲み方」をマスターしている人は、普通の麦茶を飲ませても一流である。
コンビニの、98円で500ml入りのお得パックの麦茶を飲んだとしても、その姿勢はピーンと伸びており、飲み終わったあとは、きれいに片付けられている。
一流の「お茶の飲み方」をできる人は、日頃、普通の麦茶だろうがハトムギ茶だろうが、何を飲むにしても全体的に立ち居振る舞いが美しいのである。
最後に、真の一流は、お茶を飲むときに感謝の気持ちを忘れない。仮にそれが、自動販売機のウーロン茶であったとしても、飲み終えたあとに「結構なお点前で」と、自動販売機に敬意を払うのは、当然のことなのである。
人がいようがいまいが、たとえ対象が自動販売機だったとしても、お茶を飲み終わったときは「結構なお点前で」と独り言でも感謝の気持ちを発するのが、一流の一流たるゆえんなのである。
「一流の慎重さ」をひけらかす二流の私
ちなみに念のために断っておくと、本記事を公開する前に、きちんとお茶の先生に内容の監修を受けた。
いつものように大炎上することを未然に防ぐべく、意外とまじめにお茶の先生まで動員して監修まで受けるという「一流の慎重さ」を得意げにひけらかしたところで、今宵のコラムを締めさせていただきたいと思う。
なお、「正しいお茶の飲み方」に限らず、「失恋」のグローバルスタンダードや、「エレベーターの乗り方」のグローバルスタンダードなど、さまざまな日常の問題に関して、こちらで読者の皆様の人生相談にお答えしている。
お茶の飲み方から恋愛相談まで、「あまり重要でない、比較的どうでもいい人生相談の数々」に限定して、シンガポールのかなたで、お待ちしております。
今回の記事もまた、結構なお点前で。ズズズッ(一流のお茶の音)。
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