2018年以降、「世界同時不況」が始まる理由 バブル崩壊の「引き金」はどこが弾くのか

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世界の主要中央銀行の今後の金融政策の不確実さを整理すると、たとえFRBが出口戦略に着手する状況になったとしても、資産規模を危機前の水準に圧縮するには、5~10年単位の期間を要することになりそうです。当然のことながら、ECBが資産規模を圧縮するにはFRBより長い年数がかかるでしょうし、日銀にいたっては10年かかっても絶対に無理であると考えるのが自然であるしょう。

それ以前に、ECBや日銀が本格的な出口戦略に着手するには、あと3年経っても無理なように思われます。すなわち、ECBや日銀の出口戦略が遠ざかれば遠ざかるほど、国家や民間(企業・家計)の債務が膨らみ続けるという借金バブルの悪循環は一向に収まることはないでしょう。

米国、欧州、日本が中央銀行の負債により経済の下支えを指向しているのに対して、中国は景気対策として行った4兆元の公共投資とFRBの量的緩和がもたらした副作用に苦しんでいます。

中国の民間債務は、すでに日本のバブル末期並みに

FRBが量的緩和を実施していた当時、中国企業は主にドル建て債務を増やし、大規模な設備投資を行ってきました。その結果として、鉄鋼、セメントなどの素材メーカーだけでなく、自動車やスマートフォンといったメーカーにまで供給過剰の波が押し寄せてきているのです。今では供給過剰による収益悪化によって、中国企業の多くは債務の返済に四苦八苦しています。とりわけ、ドル建て債務が多い企業では、人民元安によって債務負担が増えているという現実があります。

BIS(国際決済銀行)の推計によれば、中国の民間債務は2015年9月末時点ですでに21.5兆ドルとなり、リーマンショック後から4倍へと急速に膨れ上がっています。驚くべきことに、その債務総額はGDP比で200%に達してしまっているのです。日本の民間債務は1989年にGDP比で200%を超え、その後にバブルが崩壊することになったのですが、中国の民間債務もすでに日本のバブル末期の水準に達してしまっているのです。習近平指導部は共産党独裁体制を維持するために、何としても経済をソフトランディングさせようと躍起になっていますが、それが達成できるか否かは、もはや誰にもわからないでしょう。

中国の民間債務の内訳は、企業が17.4兆ドル、家計が4.1兆ドルとなっていますが、債務の8割を占める企業部門のうち、債務比率が高い不動産、鉄鋼、金属、資源などの分野では、債務不履行や法的整理への懸念がつねにくすぶり続けています。中国はGDPを1兆ドル増やすのに、企業部門だけで2兆ドル超の債務を増やす必要があったのですから、今の中国経済は非常に効率が悪い状況になっているといえます。ですから、生産効率を考慮に入れた人件費を計算すると、中国沿海部の人件費はすでに米国南部を上回ってしまっていると推測されるのです。

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