2018年以降、「世界同時不況」が始まる理由

バブル崩壊の「引き金」はどこが弾くのか

具体的にどういうことかというと、2008年のリーマンショック後の世界的な金融緩和を通して、先進国・新興国を問わず世界中の国々で債務が増えすぎてしまっている事実を重く見るべきだということです。

米国では家計の債務が2017年3月末で過去最高の水準を更新しているのに加えて、FRB(米国連邦準備制度理事会)が量的緩和により莫大な負債を抱えてしまっています。FRBの総資産規模は歴史的に見て高水準に膨らんでおり、GDP比で20%を超えるまでになっているのです。ECB(欧州中央銀行)や日本銀行に比べればFRBの財務はかなりマシであるにもかかわらず、FRBが金融危機前の資産規模に戻すには、ざっくりいってあと5~10年はかかるという見方が妥当でしょう。

「金融緩和はコストのかからない政策」という幻想

欧州では国家、銀行、家計がそれぞれに重債務に苦しんでいるなかで、ECBも量的緩和によって資産規模を拡大し、負債を増やし続けています。ECBの総資産規模はGDP比ですでにFRBを超えてしまっていて、30%に達しようとしているのです。それでも欧州経済は力強さを回復したとまではいえず、南欧を中心に失業率が高止まりしています。そのため、ECBは2016年12月に量的緩和の終了時期を2017年12月末まで延長することを決定せざるをえませんでした。ECBが出口戦略を始める以前に、それを説明する環境があと数年で整うかどうかも怪しい状況にあります。

一方、日本でも国家が重債務を抱える傍らで、日銀が大規模な量的緩和を行い、未曾有のペースで負債の膨張が進んでいます。FRBやECBに比べると驚くべき数字ですが、日銀の総資産規模はGDP比で90%を超えてしまっているのです。その副作用として、市場に出回る国債が減少し続けることにより、日銀が市場から国債を買えなくなる時期が2020年の前には確実に訪れることになるでしょう。

金融緩和はコストのかからない政策であると見られがちなのは、日銀がいわゆる出口戦略を迎えるときに赤字が膨張するという問題を無視しているからです。そのような理由で、日銀は緩和による財務の見通しをこれまで明らかにしてこなかったというわけです。

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