ロールプレイングは、たとえばその会社の営業マンという設定で、実際ありうる条件のもとで疑似体験するもの。学生は営業プランを立て、社員相手ではあるが、販売交渉などに挑戦する。IT企業ならプログラミング、銀行なら窓口業務しかイメージできない学生でも、「SI業界顧客折衝体験プログラム」(日立ソリューションズ)、「財務診断」(武蔵野銀行)、「コンサルティング営業」(静岡銀行)などのプログラムによって、志望者ならば知っておくべき業務を深く理解するのに役立つ。
また「配属型」は、「職場受入型インターンシップ」(富士通、NECなど)というシンプルな名称が示すとおり、実際の職場のなかで研究開発などの業務に従事するもので、電機や自動車メーカーに多い。期間は2週間前後から数カ月と長期に及ぶものもあり、社員が張り付いて直接指導が受けられる。「ソフトウエア、ハードウエア、メディカルサイエンス、商品企画、マーケティングなどの各職場に、一人ひとり配属し、実務的なテーマに取り組む」というソニーのように、文系職種も同様の枠組みで実施する会社は、専門職志向の文系学生にはきわめて希少で、有用な就業体験が得られそうだ。
“海外で働く”インターンシップまである
こうした専門職のインターンシップは、大手企業はそれなりの募集人数があるが、中堅企業以下では、1人(アーレスティ、オイレス工業など6社)、2人(アルパイン、日本軽金属など10社)といった、少人数での実施人数が目立つ。とかく集客目的が見え隠れするインターンシップだが、一人ひとりを貴重な戦力予備軍としてじっくり育てようとする会社の姿勢は、就職先を選ぶ際の要素としても知っておいてよいだろう。
さらに期間が長期に及ぶのが、ベンチャー系のインターンシップ。リクルートライフスタイルのように「実際の現場で、一社員として営業や企画に携わる最短2カ月、最長6カ月の就業体験」を提供する会社もある。このタイプの実施時期は「随時募集、随時受け入れ」とミクシィのように通年のものが多い。通常、インターンシップは無給だが、最近は報酬が支払われるスタイルも出てきている。
インターンシップも採用の一環であるため、そのプログラム内容は当然ながら会社の求める人材像を映したものとなる。
典型的なものが「海外」に対する姿勢だろう。総合職を「グローバルリーダー」と銘打つファーストリテイリング(ユニクロ)では、今年も「グローバルスタディプログラム(GSP)」という海外5都市で開催するインターンシップを予定している。
ほかにも、実施地域を見ていくと、従業員約5600人のうち常時200人前後が海外で勤務するアルプス電気では「ドイツ」、海上土木最大手の五洋建設では「シンガポール」など、ちらほらと海外の国名が出てくる。今年のインターンシップ情報では両社ともまだ確認されていないが、注意深くウォッチしていると、グローバル人材を求める会社では海外で実施するインターン募集が忽然と現れることもありそうだ。
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