ビル・ゲイツが破天荒な質問をした深いワケ 天才経営者の「頭の中」から学べること
同書には「マスクは真剣に、人類を自滅行為や偶発的な滅亡から救うことを考えている。資本主義の権化と呼ばれたハワード・ヒューズよりもトーマス・エジソンに近い」とある。ハワード・ヒューズは「地球上の富の半分を持つ男」と称されたが、一方、エジソンはその発明品だけみればヒューズを超える実績を残しつつも大金持ちになれなかった。ポイントはここである。
マスクはときおり、M&Aで大金を手にしているが、大金を得ることが目的だったわけではない。次の事業に投資するための資金調達なのだ。つまり、マスクの場合、夢が先で収益性は後に来るのである。「これだけの収益が見込めるので」ではなく「こんなことが実現できたら」といったことで事業に臨んでいる。これがマスクの才能であり、エンジンであるSF力の象徴といえよう。
マスクの「SF力」の源泉
マスクは14歳のとき、ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読み、「本当に難しいのは、何を問えばいいのか見つけることだ」というSF的な言葉に感銘を受けた。そこで「質問したいことをしっかりと理解するには、人間の意識に範囲と規模を広げることが大切という結論に達した」そうだ。そこからマスクは「唯一、人生において意味のあることは、啓蒙による人類全体の底上げに努力すること」という気づきを得るに至る。すさまじい「SF力」だ。
アパルトヘイトが激しい対立をもたらしていた時代の南アフリカで幼少期を過ごし、自国の政策に羞恥心を感じ、社会の秩序に疑問を持った。そこで人類の救済が必要だ、という信念が生まれた。問題解決の枠組みを国内だけにとどまらず、人類全体としているところが凡人にはない発想だ。
2人の天才に共通するすごさ
ビル・ゲイツとイーロン・マスク。2人の天才に共通するすごさとは、ありえないことを想像するだけでなく、それを実現してしまう力にある。ありえないことを実現するのには当然、困難がつきまとう。この困難というのは「それは無理だ」という人間の存在だ。これがいちばんの障壁になる。2人はこういった壁を力ずくで押さえこんできた。つまり関係者の「できない」を絶対に許さなかった。
「おカネがないから」「人がいないから」「時間がないから」という理由を、実現を妨げる言い訳にしなかったことも、彼らを天才たらしめたゆえんなのかもしれない。
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