ビル・ゲイツが破天荒な質問をした深いワケ 天才経営者の「頭の中」から学べること
著者の解答例はこうなっている。「日本の大きな河川の川幅を150メートルとすれば、国土の違いに配慮して、ミシシッピー川はその15倍くらいだと推定すると、約2.5キロ、水深が浅いといっても1メートルということはないので5メートルとする、流速は人の歩く速さとふんで時速4キロと推定、したがって答えはこれらを掛け合わせた5千万立方メートルになる」。
なぜ、長々と著者の解答を載せたかといえば、数字が滅茶苦茶だからだ。ここで読者には通常なら校閲にはねられそうな数字がなぜ本に載っているか、を考えてほしい。これは、出題が数字の正確さを問うているものではない、ということなのだ。マイクロソフトは数字が導き出されるまでの過程にみるべきものがあるかどうかを判定しているのである。
いつでも重要なビルの示唆
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』というベストセラーがある。これはジョブズのプレゼン能力にフォーカスした本だが、ジョブズの能力をプレゼンの枠だけでとらえるのは誤りだ。なぜなら、ジョブズの能力がもっと多様であるということではなく、ジョブズに限らず、アメリカ人なら誰だってプレゼンはうまいから、ということだ。そういった意味でもビル・ゲイツの能力を考える際には、注意深さが必要だ。
ビル・ゲイツの特徴というのは「今、社会が何を求めているかについて考える方法を地球上の誰よりも的確に把握しているところ」ということになるだろう。その才能の発露として、あのような面接試験があるのだ。
これからはAIの時代である。さらに正解を競う時代でもない。よくいわれるが課題を疑い、自分で問いを見つけていく時代である。こんな現在を考えると、1990年代初頭から前述したような面接試験をさんざんやっていたビルには、感服する他ない。そして、私はつくづく日本の教育を憂うのである。
もう1人取り上げたい人物がイーロン・マスク。次世代のビジネス・リーダーを挙げるとしたら、間違いなく筆頭となるのは彼をおいて他にはいないはずだ。
マスク初の公認自叙伝、『イーロン・マスク 未来を創る男』が、やはり彼のひととなりを知るには最も有効な1冊だろう。
現在のところまでのイーロン・マスクの偉業は2つだ。ひとつは、世界で最も安定的にロケットを打ち上げることができる民間業者であること。もうひとつは電気自動車を商業ベースに乗せたことである。
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