ビル・ゲイツが破天荒な質問をした深いワケ 天才経営者の「頭の中」から学べること

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著者はビル・ゲイツを「今風の地頭男」と評しているが、私はこの「今風」が重要だと考える。これはビル・ゲイツの能力はいつでも最先端である、ということだ。ビル・ゲイツ本も「新しい本」を念頭に探したが、やはり「新しい」を最優先すると間違いを起こしかねないと考え、2009年初版の本の推薦となった。

具体的に面接試験での出題をみていこう。たとえば、あるとき出題された「HOW WOULD YOU DESIGN BILL GATES’S BATHROOM?(ビルの風呂場をどうするか?」という問題。なぜこんな出題がされるのか、著者はこう分析する。マイクロソフトは従業員を雇うために、試験をしている。つまり、ビジネスパートナーとして組める人間を探しているのだ。そこでここに問われているのは、ビジネスのステップを踏んでデザインの提案をどうするかなのである。

そうなるとまずは当然、予算や納期などビル・ゲイツの要望について聞くことが重要になる。ようするに「こんなお風呂場でどうでしょう」と見栄えの話だけで済ませれば、これは脱落する他ない。そして著者はこう付けくわえている。使うのはマイクロソフトのビル・ゲイツであるから、ビル・ゲイツの風呂場工事が、マイクロソフトの事業に潤いのあるものでなくてはならない。よって、防犯やエネルギー調節などにIOTが駆使されている風呂というような提案が正しい、としている。そこでは、ビル・ゲイツの好みのお湯の温度のリサーチがあってもいいかもしれない。

それから、マイクロソフトの試験に筆記はなく、面接のみと特徴的だ。そこにはビルのこだわりがある。単に面接官が一方的に質問し答えを聞くのではなく、面接を受ける側が面接官にどんどん質問をぶつけていく形になっている。紙では引き出せない解答が期待されているのだ。

すべての設問においてそうなのだが、これは正しい解答を求めているのではない。パズルを解いていく過程を問うものなのだ。もとより、ビル・ゲイツの風呂場に正しい形があるわけではなく、それは折衝の中で決まっていく。ビジネスも同じである。始めから答えが用意されていることなど皆無と言っていいだろう。これは入学試験でなく、入社試験なのだから、当然だ。ビジネスの素養を問うためにはあらかじめ答えが決まっている出題をしてもまったく無意味なのである。

正解はないと考えるのが正解

「ニューオリンズ地区を流れるミシシッピー川の一時間当たりの流水量はどれだけか」

これもマイクロソフトの面接試験だが、これも当然、季節によって水かさが違うので正解などない。これは最終的に数量を出口としなければならないが、ここでも数字よりも、その数字をいかにひねり出したかが問われている。つまり思考過程、プロセスだ。

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