なぜ日本の河川はやたらと殺風景なのか

自治体が決断すればパリにだって勝てるかも

田中:河川の利用規制について少々解説をさせていただければと思います。実は法律では、河川での遊泳や釣りを禁止してはいません。河川は排他独占的に使わなければ原則自由に使って構わないのです。

ただ「遊泳禁止」などの看板があるのは、おそらく川の安全な使い方をわかっていない人が増えたので、水難事故を防ぐ目的で河川管理者や公園管理者が設置しているのだと思います。

木下:「実態的規制」というやつですね。

野尻:でも看板を立てるのも行政じゃないですか。だから僕らはそれも含めて「規制」と解釈してしまうんです。

田中:確かにそういう実態はあります。

岩本:自由使用ということなら、本当は東京・世田谷区にある二子玉川の多摩川河川敷では、バーベキューしてもいいんでしょうか? 確か、あそこは禁止されていたと思いますが。

田中:二子玉川の河川敷は、そこが公園であればですが、東京の世田谷区が公園として使用するため河川管理者から土地を借りている状態です。ですから河川使用のルールの上に、公園使用のルールが入っています。そのためバーベキューが禁止されているのだと思います。

野尻:こっちのルールとこっちのルールが重なる。こうなってくるとややこしくなるんですよね。

田中:そうですね。ややこしくなったり、あれもダメ、これもダメとなったり……。

首長が決断すれば、事務方は従うしかない 

――念のため付け加えておけば、多摩川のバーベキューは世田谷区側ではダメですが、対岸の川崎市側では可能です。そこで、次は、いまとりあげた「河川と公園」が重なるケースをあげてみます。福岡市の市営水上公園です。ここでは、福岡市が公園の敷地に民間による施設建設を認めたことにより、西日本鉄道が主体となって、レストランやカフェが入った「SHIP’S GARDEN」をオープン、人気になっています。ここは「最長22年間使用可能」という長期占有が1つの特長になっています。

中村:これは当社(トランジットジェネラルオフィス)と西鉄さんのチームでコンペ(競争入札)に参加させてもらった案件で、これは「天神ビッグバン」というプロジェクトの一環です。

野尻:ここは公園法や河川法の制限はなかったんですか。

岩本:そこは福岡市が仕切ってくれました。

野尻:なるほど。自治体が仕切って規制をクリアしてくれると民間としては手を挙げやすい。こういう事例が増えてほしいですよね。

木下:首長が「やるぞ」と言えばいいんです。そうすれば事務方は従うしかない。それをボトムアップでやろうとすると、こっちの部署では「無理」、あっちの部署でも「無理」ということになっちゃうんですね。

それからこのケースでは22年の長期占有ができるということも大きいですね。従来のような5年とか10年の期間では投資回収が難しいので民間企業でやれることが限られてきちゃいますから。

本記事は4月19日に行われた「第4回パブリック・アライアンス・トーク」のライブをもとに再構成したものです。第5回は5月26日(金)に開催。第6回は6月30日(金)開催予定。ゲストは堀江貴文氏の予定です。詳しくはこちらをご覧ください(有料参加が可能です)。パブリック・アライアンスへのお問い合わせはこちら
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 就職四季報プラスワン
  • コロナショック、企業の針路
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナ戦争を読み解く
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
文具業界を揺るがす動乱<br>「コクヨvs.プラス」の全真相

昨年末のぺんてる株をめぐる文具2強によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)。両社のバトルには、8月に設立したプラスの卸子会社が2年前の計画で一度頓挫していたことにも伏線が。縮小する文具業界再編をめぐる壮絶な主導権争いに迫ります。