「オオカミくんには騙されない」人気の舞台裏 AbemaTVでヒットを生むリーダーの仕事術
――番組づくりの上で大事にしたことは?
とにかく10代の女の子に胸キュンしてもらうことですね。そのためにこだわったのが、どれだけ視聴者の間で会話を生むことができるかです。特に『AbemaTV』の場合、画面横に視聴者のコメントが出るのが特徴。ここが盛り上がれば、自然と話題が広がっていくんじゃないかという狙いはありました。だから、観ている人たちが「オオカミは誰なんだろう?」、「早く次が観たい!」と感想を言い合えるつくりを目指していました。
――そのこだわりは、具体的には番組のどんなところに反映されていきましたか?
絶対譲らないと決めていたのが、ヴィジュアル的な綺麗さですね。やっぱり胸キュンするなら、魅力的な男の子と女の子が出演していて、雰囲気もオシャレな方がいい。そういう番組の「空気感」に関しては、私自身の中に確固たるものがありました。
――番組づくりと言えばたくさんの人が関わる共同作業。いろいろな人と意見を交換し合う中で、チームをまとめる難しさや方向性を見失ってしまうこともあると思いますが、その点はどうでしたか?
おっしゃる通りだと思います。だからこそ、私自身が軸を固めておこうということは決めていました。自分がどういう番組を作りたいのか、そのビジョンをちゃんとスタッフに発信する。そして、何があってもその軸だけはブラさない。それが、プロデューサーである私の務めだと思っていました。
――具体的にはどんなやり方で自分のビジョンを共有していったんですか?
私の場合は、なるべく具体的な事例でイメージを持ってもらうようにしていたので、例えば「この雑誌の特集のこんな雰囲気を入れたい」、「あの番組のこういうエッセンスをヒントにしたい」というような感じでスタッフの皆さんに伝えるようにしました。
ただ、実際の番組作りで言うと、制作会社の皆さんがとても優秀な方たちばかりだったおかげで、私が必要以上に細かく口を挟まなくても、頭の中にあったイメージ通りのものが自然と出来上がっていきました。
エキスパートから“本気”を引き出す方法を考えた
――そういう意味では、チーム全員でつかんだヒットだったわけですね。
そうですね。いい企画は一人の力で生まれるものじゃない。皆で力を合わせるから、たくさんの人の心を動かせるコンテンツが生まれるんだということは、スマホゲームを作っていた頃からずっと変わらないポリシーです。だから私だけがヒットメーカーと呼ばれるのはおこがましいというか……(笑)。今回もチームの力があったからこそ、多くの人に喜んでもらえるものができたんだと思います。