繰り返し使える生理用品「月経カップ」の真実 生理用品のサードウエーブを知ってますか?
例えて言うなら、ワイングラスの「台」部分を省いたような形状。指で折り畳んで膣内に挿入すると、そこでカップ部分が開いて子宮から排出される経血をダイレクトに受け止める。経血が漏れにくい、洗浄して繰り返し使える、ゴミが出ない点をメリットと感じた女性たちから支持されている。
布ナプキンをはじめとするオーガニックコットン製品ブランド「スクーン・オーガニック」代表の浅井さとこさんは、米国在住25年目。ニューヨーク大学でMBA取得後、コンサルティング会社勤務を経て、2002年に同社を起ち上げた。月経カップを独自開発し、「スクーンカップ」として世界30カ国以上で販売している。開発の際には日本人を含む何百人ものモニターの意見を取り入れて、アジア人にも使いやすい仕様を目指したという。日本でも2016年3月から、薬事法に基づいてスクーンカップの販売を開始した。主にネットショップなどで取り扱われている。
「欧米ではスクーンカップのユーザーが加速度的に増えていて、生理用品の主流になりつつあります。なぜなら、それによって生理中でも女性が快適に、しかもアクティブに過ごせるからです」と言うが、紙ナプキン一強状態の日本における販売にハードルを感じなかったのだろうか。
「これまでアフリカなどの途上国に当社のオーガニック布ナプキンを寄付する活動をしてきましたが、そうした地域では生理用品が行き届いていないがために学校に通えなかったり、それで勉強についていけなくなったりする少女が多いのです。その活動を通じて、繰り返し使える月経カップの存在を知りました」(浅井氏)
簡単に洗えてすぐまた使える
月経カップは、シリコン製が基本である。布ナプキンは洗剤と大量の水を使わなければ洗浄できず、乾燥にも時間がかかるが、月経カップはふだん使っている石けんなどを使って付着した経血を洗い流せば、すぐにまた使用できる。
経血量は個人差が大きく、一度のサイクルで19~252グラム、平均で82グラムという報告がある(花王調べ)。スクーンカップでは2種のサイズを展開し、小は23ミリリットル、大は30ミリリットル。多い人でも1日2~3回交換すれば事足りる。下着が汚れるのを恐れて頻繁にトイレに立ち紙ナプキンを交換する煩わしさから解放されるのだ。衛生状態をキープしやすく、さらに漏れを気にして活発な行動を控えることもない。これはアフリカの少女たちだけでなく、世界中の女性が求めているものだ。
「ただ、私が開発を始めた当時、米国国内で市販されていた月経カップの大半は、硬い、痛い、洗っても経血が残るなど仕様に問題があるものばかりでした。安価なものはバイオテストがされていないので、安全性に疑問があります。そこで当社のカップは日米の薬事法に基づいて、入念なバイオテストを繰り返し、その安全性を何重にも確認することにこだわりました」(浅井氏)
ひと口にシリコンといってもその質には幅がある。粘膜に直接触れるものだけに、低品質のものは使えない。スクーンカップでは医療用器具にも使われるグレードの高いシリコンを採用し、FDA(米国食品医薬品局)の審査を受けて、女性の膣内に入れても安全な商品として正式に認められた。
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