繰り返し使える生理用品「月経カップ」の真実 生理用品のサードウエーブを知ってますか?
日本での販売にあたっては、その品質の確かさ、それに伴う安全性を打ち出すとともに、生理に制限されない自由なライフスタイルを推奨することが普及のカギとなると浅井さんは考えた。田中ひかる著『生理用品の社会史:タブーから一大ビジネスへ』(ミネルヴァ書房)では日本初の紙ナプキンが発売されて以降、社会における女性の役割が大きく変わったと指摘されている。それ以前の女性たちは、生理中は外出もままならない場合も多かった。社会に出て働くには、クリアしなければいけない生理の面倒が多すぎた。
販売開始後、月経カップはまず女性医師たちの間で急速に広まった。外来や手術に入ると自由にトイレに立てなかった医師らから、スクーンカップによって仕事に集中できる、というお墨付きを多く得た。同時に、経血が空気に触れないのでニオイの心配が減るという衛生面や、毎月紙ナプキンを購入しなくてよいという経済面のメリットを広くアピールし、それが女性向けのネットメディアでもたびたび取り上げられるようになり、じわじわと販売数を伸ばした。
「私はモノを売るだけでなく、女性のライフスタイルを応援したいと思っています。そのために、自分たちには選択肢があることを知ってほしい。紙ナプキンに不満がない女性は多いでしょう。スクーンカップは膣内にずっと挿入しておくものなので、そこに抵抗を感じる女性もいるはずです。けれど、米国ではティーンエージャーも気軽にスクーンカップを利用しています。スポーツに打ち込んだり、ファッションを楽しんだり、いつもどおりの生活ができますからね」(浅井氏)
最初は違和感を覚えるが…
最初は違和感を覚える人がいるのは事実だ。しかし、2~3サイクル使用すればほとんどの人が慣れるという。浅井さんはそれを、自転車に例える。誰でも最初から補助輪なしの自転車を乗りこなせるわけではない。乗れるようになるまでには、多少の失敗もある。けれど、乗りこなせるようになってしまえば、乗れなくていいとは思わない。行動範囲がぐっと広がる。
「仕事だけでなく、オフタイムも生理に邪魔されたくないですよね。生理中ということを忘れて海や温泉に行けますし、飛行機での長時間移動のときもスクーンカップは強い味方になります」(浅井氏)
日本では「生理は面倒なもの」「我慢するのが当たり前」という考えが根強い。しかし、そこから解放してくれるアイテムがあるなら、使わない理由はないのではないか。米国からやってきた「生理中も楽しんでいい」「生理であることを忘れていい」という波が今後どこまで広がるのか、引き続き注目していきたい。
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