アウディA3の高性能版、「S3」に乗ってみた 290馬力、7速、フルタイム4WDを操る

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だからこそ、A3は瞬く間に成功をおさめ、アウディの主力商品の柱に成長しただけでなく、こんにちのプレミアム・コンパクト、メルセデス・ベンツのAクラスやらBMW 1シリーズやらの隆盛を招くとっかかりをつくった。自動車はもちろん中身も問題だけれど、包装紙こそ中身みたいなところもある。羊羹だったら食べるにあたってオシャレな包装紙はグシャグシャにして捨ててしまったりするわけだけれど、自動車とはいかなる包装紙で包むか、パッケージこそが大問題なのだ。

新型S3の重要な2点

現行A3は、2012年春のジュネーブ・モーターショーで登場した3代目で、ゴルフ史上でも傑作の呼ばれることになるであろうゴルフVIIとプラットフォームを共有する。現行A3は2代目とほとんど見た目は変わっていないように見えるけれど、内面はMQBと呼ばれるVWグループの横置きエンジン用車台に、アウディは独自の軽量化技術を組み合わせている。後世、これまた傑作と呼ばれることになるのではあるまいか。

日本市場には翌13年秋から導入が始まった現行A3は、のちに4ドア・セダンもA3としては初めて加わっている。ただし、A3というと「スポーツバック」と呼ばれる5ドアを筆者がいまでも思い浮かべるのは、たぶん筆者がA3セダンを持っていないからだ。ま、スポーツバックも持ってませんけど。

話が長くなって恐縮です。で、その3代目A3であるけれど、 これが昨年本国で4年目のマイナーチェンジ、すなわちモデルライフの折り返しとなる改良を受け、本年早々から日本への上陸を開始している。エクステリアではグリルが微妙に大きくなったり、バンバーが立体的になったりしているけれど、ひと目で見分けるポイントは新型A4同様のイナズマ型ヘッドライトである。写真をご覧になれば、筆者の申し上げたいことが伝わると思う。

内装では、TT以降、順次導入されているフルデジタルのメーターが改良点の目玉だ。モノとしてのメーターは液晶画面に変わりつつある。

機能面では、追突防止の自動ブレーキや車間距離と速度を一定に保つ「アダプティブクルーズコントロール」などの安全デバイスが標準装備化された。超高齢化社会のニッポンのみならず、先進諸国において間違いなく、いま最も求められている技術のひとつだ。

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