それから20年。先日蓋を開けてみて驚きました。浮子の親は、実親を捨てて娘を選んだマスオさんに報いようと、そのマスオさんに金銭的にも随分貢いだりおカネを貸したりしていました。マスオさんは、立派な外車を持っているのにまた外車を買ってあげるなど、ねだられるまま、不良息子を1人持ったような貢ぎ方でした。
それがこの短期間にすべて売りに出され、現金化されました。さらにマスオさんは浮子に突然、彼女の浮気現場の写真を突きつけ、狼狽する浮気妻に対しその場で、親への返済金も含めて金銭要求は一切しないという念書を書かせ、裸同然で追い出したのです。
妻に従順だったマスオさんの用意周到な豹変ですが、金銭的にも困り、医師夫人でもなくなった浮子は、「彼から離婚を言い出すなんて、考えもしなかった」と、呆然としています。
「覆水盆に返らず」か、「雨降って地固まる」か
あなたがやり直したいのでしたら、あなたからこれまでの自身の非を正直に詫び、率直に話し合うべきです。夫人にも強い決意を求めるべきです。あいまいな「男女の友人関係」は認められないことや、夫人のあなたへの態度も改められないなら夫婦関係の継続はないことを、強い覚悟で伝えるべきです。
夫婦もいろいろで、1滴の水漏れが原因で壊れる夫婦もあれば、水が全部ひっくり返ってもそれで、地を固めてしまう夫婦もいます。あなた方の溝の深さがどの程度かわかりませんが、あなたの苦悩の解決は、このあとでしかありません。
仕事で育児を手伝えなかったのはまだしも、「妻子に疎まれているのであれば、同居人として振る舞おう」と、あなたからも距離をとっていたのは、感心しません。今はやりの「忖度(そんたく)」の方向を間違え、本当の家庭崩壊はこの時から始まっていたのです。あなたは「相当うっとうしい存在」に、自らなっていったのです。
私は、夫人の味方をしているのではありません。昔は仕事さえ頑張っておれば、家庭では横のものを縦にしなくとも通りましたが、今は、「まじめすぎて面白くない」を、離婚理由に挙げる人もいる時代なのです。元に戻りたいほうから作った溝の深さを自覚・反省し、そのうえで話し合いをするしかありません。
先のマスオさんは、夫婦で話し合いを重ね、夫人は反省し、改心を約束してはまた浮気、という“むなしい繰り返し”が、数十年続いたそうです。「子どもが巣立つまで」の仮面夫婦など、何の解決にもなりません。話し合いで夫人があなたと同じ方向を見ないようなら、今のうちに離婚の覚悟を決めるべきです。
昔の笑顔など、取り戻せません。笑顔は新たに次から次へと、湧き起こってくる新たな人間関係や、よりよい人生の環境をつくれるかどうかの問題なのですよ。
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