キリン「一番搾り」を"大変身"させた男 フローズン・ツートンで拓く、”新”王道マーケティング

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メーカーの思いが強すぎると失敗する

――門田さんはどうやってマーケティングを勉強されたのですか?

もともと私は営業経験が長くて、マーケティングに移ったのは十数年前のことです。異動前は埼玉の支社で営業をやっていました。「俺が埼玉のビール市場を支えている」って、自分なりに気負いもあったんです(笑)。

30歳でマーケティング部に異動になったときも、「あっという間に1番になってやる」なんて思っていたんですが、見事にその鼻っ柱をへし折られました。先輩マーケターたちとは、知識の引き出しの幅が比較にならなかったんです。趣味人が多く、土日に家にこもるようなタイプはいなかった。人間としての魅力がすごい。自分が恥ずかしくなりました。

マーケティングという仕事は人間としての器や総合力がモロに出てしまう仕事なのだと、そのとき初めて気づかされました。そこからですね、きちんと勉強しようと思ったのは。あとはもうがむしゃらに現場から学びました。

――現場をはいずり回る中で失敗した経験も?

もちろんありますよ……。2007年に発売したプレミアムビール「キリン・ザ・ゴールド」のことは忘れたくても忘れられません。キリンが100周年の威信をかけて、まさに万難を排して挑んだ商品でした。プロジェクトチームは50人以上に及び、予算も数十億円と社運をかけたプロジェクトです。

私はこのプロジェクトを担当したのですが、見事に大コケしました。今考えると冷静になれますが、結局、消費者にとってキリンの100周年は何の関係もなかったんですよね(笑)。コンセプトは「絶対的においしいビール」。商品は最高のものをつくった自信がありましたが、それを「消費者が求めているはず」と言うのはメーカーの勝手な思い込みだった。メーカーの思いが強すぎるといちばん大事なことが見えなくなってしまうのだと多くを学んだ経験でした。これだけ失敗してよく会社もクビにしないなぁと、今でも感謝しています(笑)

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