キリン「一番搾り」を"大変身"させた男 フローズン・ツートンで拓く、”新”王道マーケティング
自分たちは何もしていない
――マーケティングって難しいですね……。
難しいと思う一方で、私が面白いなと思うのは「マーケターは実は何もしていない」という事実です。私たちが実際に決めていることって、実は商品のコンセプトとネーミングくらいしかありません。味は商品開発、パッケージはデザイナー、広告については広告代理店、とそれぞれに担当分野がある。マーケターが自分たちで直接手を動かしているものはそれほどないのです。
では、マーケターのいちばんの仕事は何かというと、チームのマネジメント。経営者みたいですが、「夢や志を語ること」だったりします。部署も横断的ですし、関係する外部のパートナー企業も多く、全員が同じチームとして当事者意識を持つための「想い」を共有するわけです。
マーケティングは学問ではないと私は考えています。消費者のニーズをとらえ仮説をつくりますが、最後の最後はデータだけではなく、肌感覚の「体験」や「事実」によって、いかに大きな世の中の流れをとらえられるかがポイントです。他社のことも研究します。世の中のマーケターが死ぬほど考えているアウトプットは勉強になる。アウトプットのまねはいけませんが、考え方をなぞることはできる。
そんなふうに必死になってたどり着いたマーケターのコンセプトに共鳴し、チームが一丸となる瞬間こそ、マーケティングの醍醐味ではないでしょうか。
(撮影:尾形文繁)
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