キリン「一番搾り」を"大変身"させた男 フローズン・ツートンで拓く、”新”王道マーケティング

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自分たちは何もしていない

――マーケティングって難しいですね……。

難しいと思う一方で、私が面白いなと思うのは「マーケターは実は何もしていない」という事実です。私たちが実際に決めていることって、実は商品のコンセプトとネーミングくらいしかありません。味は商品開発、パッケージはデザイナー、広告については広告代理店、とそれぞれに担当分野がある。マーケターが自分たちで直接手を動かしているものはそれほどないのです。

では、マーケターのいちばんの仕事は何かというと、チームのマネジメント。経営者みたいですが、「夢や志を語ること」だったりします。部署も横断的ですし、関係する外部のパートナー企業も多く、全員が同じチームとして当事者意識を持つための「想い」を共有するわけです。

マーケティングは学問ではないと私は考えています。消費者のニーズをとらえ仮説をつくりますが、最後の最後はデータだけではなく、肌感覚の「体験」や「事実」によって、いかに大きな世の中の流れをとらえられるかがポイントです。他社のことも研究します。世の中のマーケターが死ぬほど考えているアウトプットは勉強になる。アウトプットのまねはいけませんが、考え方をなぞることはできる。

そんなふうに必死になってたどり着いたマーケターのコンセプトに共鳴し、チームが一丸となる瞬間こそ、マーケティングの醍醐味ではないでしょうか。
 

(撮影:尾形文繁)

早川 くらら ビルコム コンサルティングDiv General Manager

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はやかわ くらら

2005 年 ビルコム株式会社入社。新規事業担当、採用担当、アライアンス担当、営業担当を経て、コンサルティングDivのGeneral Managerに就任。協和発酵キリン、クラシエフーズ、ブリヂストンなど国内外大手クライアントを持つ部署全体を統括し、戦略的PRプランニングなどに携わる。

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