BOSS新CMが描いた「企業戦士」時代の終わり

コーヒーCMは「働く男」をどう描いてきたか?

「CMは時代を映す鏡」と言われるが、ことコーヒーやドリンク剤のCMは、働く日本のサラリーマンを長く描き続けてきたといえよう。そこで今回は、CM総研が1989年から開始したCM好感度調査(東京キー5局にオンエアされた全CMが対象)をベースに、一世を風靡したCMを中心として、そこに描かれるサラリーマン像がどのような変遷をたどってきたのかを見ていこう。

■1980年代終盤~1990年代序盤

CM総研が調査を開始した1989年ごろの世の中は、まさにバブルの絶頂期。テレビCMから数々の新語や流行語が誕生した。1989年1月度のCM好感度調査で、全オンエアCM作品中2位となったのが、“働きスギ、飲みスギ、遊びスギ”のサラリーマンを演じる高田純次が「♪5時から男のグロンサン」とコミカルに歌いながら、首をグルッと回す中外製薬(当時)の「グロンサン」だった。

同年6月度には、三共(当時)「リゲイン」が2位にランクインする。時任三郎が「♪黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか」と歌うCMソングは、カラオケでも大ヒットし、海外出張にタフに飛び回る日本人ビジネスマンを描いたCMは、イケイケのバブル時代の象徴でもあった。

バブル崩壊後は「お疲れモード」に突入

■1992年~1999年

バブル崩壊後、イケイケドンドンで突っ走ってきた日本のビジネスマンは、一気にお疲れモードに突入する。時代の潮目をいち早くつかんだのが、1992年に発売されたサントリーの缶コーヒー「ボス」だった。CMには、ロックンローラーとしてカリスマ的な人気を誇る矢沢永吉が登場。スーツ姿でサラリーマンを演じ、「結構儲かってるくせに、不景気だって顔、多いですよね。そう思いません?」「会社なんてさぁ、あんまり信用しないほうが、いいよ。会社なんてさぁ、結構、いい加減なんだから」などと言いながら、サラリーマンの哀愁をユーモラスに描いて共感を呼んだ。

30~40代の男性ファンからは「永ちゃんがスーツ姿でサラリーマン役をやっている!」という意外性で支持された。シリーズは1998年まで続いて50作品を展開し、そのうち7度の1位に輝いた。

一方、缶コーヒーのトップブランドの日本コカ・コーラ「ジョージア」は、1994年の秋から飯島直子と安田成美を起用して、疲れたサラリーマンに一息入れようと癒やし系の言葉で語りかけた。「♪ああ、男のやすらぎ」というジングルが印象的だった。

同時期のドリンク剤に目を転じてみよう。「リゲイン」は1992年から本木雅弘、1996年から佐藤浩市を起用し、一貫してスーツ姿のビジネスマン像を描いてきた。「全力で行く」「くやしいけれど、仕事が好き」「ビジネスはスポーツだ」「闘うドリンク」などのコピーで企業戦士の姿を描いた。

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