日産自動車、今期の世界販売計画は583万台 前期比20万台増、想定為替レート108円

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 5月11日、日産自動車は、2018年3月期の連結営業利益が前期比7.7%減の6850億円になる見通しと発表した。写真はジュネーブで3月撮影(2017年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[横浜市 11日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>は11日、前期を最終年度とする中期経営計画の目標である営業利益率8%、世界での市場シェア8%はいずれも未達となったと発表した。今期から始まる向こう6年間の新たな中計でも目標とする。今期の連結営業利益は前期比7.7%減となる見込み。

研究開発費が増えるほか、原材料価格の高騰、為替変動などが響く。

17年3月期(前期)の営業利益率(目標と同じ基準の中国合弁会社比例連結ベース)は6.9%、世界シェアは6.1%だった。

西川廣人社長兼最高経営責任者は同日の会見で、前期の営業利益率は目標未達に終わったが、「一定の経済条件、市場・為替の条件下であれば、(営業利益率)8%の収益性を維持できるだけの実力を確保できるところまできた」と総括。「今後はさらに厳しい経済条件の中でも8%を維持できるよう、ブラッシュアップしていきたい」と述べた。

世界シェア8%については「残念ながら届かなかったが、10年度を起点に事業規模は3―4割拡大できた」とし、「次の6年間の事業展開の大きな基礎になった」と評価。「次の中計でそのレベルに到達したい」と話した。中国でのシェアを「5%から8%に上げることができれば十分、世界シェア8%にすることができる」とも語った。

さらに、新中計での大きな目標として、「適正な条件下で持続可能な」(西川社長)営業利益率8%、売上高(中国合弁会社比例連結ベース)を前期の12.8兆円から6年後に16.5兆円に伸ばし、自動車事業のフリーキャッシュフロー累計で「最低2.5兆円積み上げる」と(西川社長)とした。新中計の詳細は今期後半であらためて発表する方針だが、日産のブランド価値をいかに上げるかが課題と語った。

今期は原材料高と為替変動響く

18年3月期(今期)の連結営業利益予想は6850億円。トムソン・ロイターの集計したアナリスト21人の予想平均7784億円を下回る。保有株を売却した子会社カルソニックカンセイが連結対象から外れたことも営業減益の要因になるほか、原材料価格の上昇で900億円、研究開発費の増加で350億円、それぞれ営業利益を押し下げる。

今期の想定為替レートは1ドル=108円(前期は108.3円)、1ユーロ=118円(同118.7円)に設定した。西川社長は、「ドル円はほぼフラットだが、英国ポンド、カナダドル、タイバーツ、エジプトポンドなどが軒並み悪化する」と説明した。こうした為替変動による影響が営業利益を600億円圧迫する。

今期の売上高予想は同0.7%増の11兆8000億円、純利益予想は同19.4%減の5350億円。

今期の世界販売は同3.6%増の583万台を計画。このうち、日本は6.7%増の59.5万台、中国が9.3%増の148万台を見込む。一方、北米は0.5%増の214万台とほぼ横ばいを想定する。

西川社長は、米国市場について「やや陰りが出てきている」との見方を示し、販売台数は「全体需要の動向や競争激化を考慮してやや慎重な計画を組んでいる」と述べた。ただ、「米国経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は非常に底堅く、市場は引き続き健全とみている。できるだけ収益性を損なわないように伸ばしていきたい」と語った。

(白木真紀)

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