ベントレーのSUV「ベンテイガ」に乗ってみた 全長5mでもスポーツカーのように走れる

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とにかく、巨体をさほど感じさせないということは、いいことだ。乗ってみてもやっぱり身体が引き締まっているので、ハイパワーなW12ツインターボエンジンと相まって、ハナから思い通りに走らせることができる。

そのまま踏んだままでいると、アッという間に、とんでもない速度域に達してしまう。途中の加速フィールはスポーツカーなどと違って、速さに質量があってスリリング。とはいえ、クルマのほうは安定しているから、恐怖感はない。そして、ペダルを緩めるも緩めないもドライバーの気持ち次第。免許は失いたくないので、何とか右足を上げた。

クルマとドライバーとの一体感

ブレーキフィールは、必要にして十分だ。重いクルマであることを、やや感じさせる程度で不安はない。個人的には、もう少しソリッドに効いて欲しいけれど、これはもう性能を超えた物理の法則だ。むしろこんなに重いクルマを、こんなにきっちり停めること自体、称賛されるべき。

高速クルーズはもはや敵ナシで、それゆえかえって走行車線をゆったり走ろうという気分にさえなる。視線の高さと相まって、他の車線を睥睨する。

足軽・小兵ども、急ぎたければ存分に走れ。ワシはいつだって追いついてやるぞ。もはや、戦国大名気分である。

街中でも意外に扱い易かった。箱のようなスタイルのほうが運転しやすいと人は言うけれど、それだってクルマに一体感があればこそ。車両感覚というものは、手足の先にクルマがちゃんとある、という確実なフィーリングがあって初めて成立する。たとえ丸くてデカくとも、クルマとドライバーとの一体感さえあれば、狭い道でのすれ違いでもさほど気を遣わないものだ。

そして。やっぱり驚かされたのは、スポーツカーのようにも走ること。ちょっとしたワインディングロードを駆けてみたけれど、少しだけ慣れが必要とはいえ、そのうち好き放題に攻め込んでいける。ポルシェ・カイエンあたりにも通じる運動神経の良さは、一風変わったカタチであるとは言うものの、さすがに“ベントレー・ボーイズの末裔”というべきだろう。

(文:西川淳、写真:河野マルオ)

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