ベントレーのSUV「ベンテイガ」に乗ってみた 全長5mでもスポーツカーのように走れる
それも、アメリカのキャデラックやリンカーンあたりのトラック派生SUVとはまた違う感覚のでかさだ。あちらは、どちらかという“箱のデカさ”。実際、キャデラックのエスカレードあたりになると、標準ボディでもベンテイガより長く、幅広く、背が高い。ESV(エクステンデッド・ボディ)ともなれば、全長5.7mと、もはや日本のシロウトには手の付けられない大きさ、というか、長さ。おなじ理由で、英国王室御用達のレンジローバーとも、違う感覚だ。こちらも、最近はかなりスタイリッシュになったとはいうものの、まだ、箱としてデカい系だから。
ベンテイガのデカさは塊としてのデカさ、で、自ずとキャデラックやレンジローバーの圧迫感ある静的なデカさとは異なってみえる。かなり動的だ。だからだろうか、しばらく見ているうちに、だんだんとそのデカさが気もならなくなっていった。
間近に立つとデカいことを思い出すが、ちょっと離れてみるぶんには、隅が丸まっていることも手伝って、小さくとまでは言わないまでも、いつまでもうすらデカいと思わせるようなことがない。サイズ的には旧型アウディQ7と似ているが、もっともっと引き締まって見える。身がぎっしりとつまっている。
コンチネンタル系と違わぬ雰囲気
それにしてもデカいよなぁ、などとわかっちゃいるけどあえて呟きつつ(寒いだの、暑いだのと一緒)、“2度目のベンテイガ”に乗り込む。
ドライバーから見える景色は、コンチネンタル系と違わぬ雰囲気だ。モダン・ベントレーかくあるべし。立体感のある翼状のダッシュボードが広がっている。コンチネンタルGTやフライングスパーと違うところは、視点の高さのみ。窓越しの景色が異なっている。
見晴らしがいいぶんだけリラックスして走り出した。アクセルペダルを踏んでみて、「おやっ?」と思う。記憶にある“1度目のベンテイガ”よりも、ひと踏みの加速が力強い。もう少し車重を感じさせる、いかにも大型SUVらしい発進加速だったのが、まるでクルマがひとまわりも小さくなったかのように、すーっとスムーズに飛び出した。ひょっとすると、エンジンとミッションのマネージメントが変わったのかも知れない。もちろん、ただの記憶違いという可能性もあるけれど。