日本、フランス、スウェーデン、イギリスの4カ国の20歳から49歳までの男女で比較しているものですが、日本の未婚者の結婚規範は、既婚者の71%とほぼ変わらない60%もあります。一方、フランスは18%、スウェーデンは21%、イギリスでも32%と、各国の未婚者の結婚規範は、既婚者の半分程度以下です。日本人は、未婚者であっても「結婚はするべきだ」という規範に、潜在的に強く影響を受けているのです。
強い結婚規範が、未婚者の「欠落感」を生む
こうした強い結婚規範は、ともすれば未婚者に対して「結婚できない自分は何かが足りないのだ」という「欠落感」を植え付けてしまうことになります。欠落感を感じると、人は不幸だと感じやすくなります。そう考えると、やはり「幸福」と「結婚」とは、深い関連性があるものだと考えるべきなんでしょうか。
もうひとつ調査データを示します。ソロ男女と既婚男女で、それぞれの「自己有能感」と「自己肯定感」について調べてみました。すると、対照的なおもしろい結果が出ています。「自己有能感」とは、学業や仕事などで他者より自分は優れているという自負であり、自己実現力ともいえます。「自己肯定感」とは、自分が好きか、自分を認めてあげられているかどうかという視点で、これは幸福感にも通じるものです。
ソロ男女たちは、一様に「自己有能感」が高い人ほど、「自己肯定感」が高い傾向があります。つまり、「有能でなければ自己肯定できない」と考えがちで、「自己肯定できないのは自分の能力が足りないからだ」という欠落による不幸感を感じる人がやはり多いんです。
反対に、既婚男女は「自己有能感」が明らかに低く、男女ともマイナス表示(有能だと思う人が少ない)となっています。にもかかわらず、「自己肯定感」はソロ男女の3倍以上あります。「自分自身たいした能力はないかもしれないけれど、まあ自分のことは認めているし、好きだ」と既婚者は感じているということです。
これは、夫婦や家族の中において、役割を果たしているという安心感や相互理解、相互承認感によって、こうした自己肯定感を育んでいるのかもしれません。そう考えると、配偶者や家族を持たないソロ男・ソロ女は、逆立ちしてもそうした幸福感を得ることはできないことになってしまいます。
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