イオン甲子園店、稼ぎ時に「突如閉店」のナゾ

野球ファンが殺到する繁盛店なのに…

阪神高速道路のガード下から見た「イオン甲子園店」。甲子園球場は目と鼻の先にある(筆者撮影)

イオン甲子園店の敷地には、もともと甲陽学院高校の校舎が建っていたが、騒音の悪化を理由に移転。跡地を1978年に取得したのが、旧三和銀行系デベロッパーの東洋不動産であり、起工までに10年以上の年月をかけて地元住民と交渉して上物の建設にこぎ着けた。

テナントにはダイエーグループの百貨店業態である「プランタン」が入居し、1993年6月にオープンした。テナントがスーパー業態のダイエーに代わったのは1995年9月のことで、昨年3月からはイオンに衣替えしている。

一方、土地建物の所有権はやや複雑な変遷を辿っている。プランタンオープンの翌月から、東洋不動産が全体の9分の2を不動産の小口化商品「TIPS-3」として販売を開始。翌年2月に200口全てが完売している。

投資家には13年後に物件を売却して償還するというスキームで、実際に売却に至ったのは、当初の予定から半年ほど遅れた2007年4月。買い手は不動産ファンド運営大手のセキュアード・キャピタル系のファンドで、当時の報道によれば、約400億円で売却されたようだ。

売却の2年前にUFJ信託銀行を受託者とする信託が設定されたが、信託受益権についてセキュアード系ファンドが取得した形をとり、同時に信託の受託者もみずほ信託銀行に変更されている。信託受益権の売買とすることで、不動産の取得にかかる税金の節税を図ったのだろう。

今回、三菱地所が取得したのは、このセキュアード系ファンドが持っていた信託受益権である。

改装後、再オープンするがテナントは「まったく未定」

三菱地所は今後改装を実施し、新たな商業施設として再オープンさせることを計画しているが、再オープン時のテナントは「(イオン側が)再入居を希望するのかどうかも含めて、改装後のテナントはまったく未定という状況。いずれにしても、当社が提示する賃貸条件での交渉になる」(三菱地所)という。

それにしても、なぜ書き入れ時であるプロ野球のシーズン中に閉鎖するのか。プロ野球だけでなく、高校野球ファンが大挙する「夏の甲子園」も控えているタイミングである。今回の閉店報道について、イオンが唯一回答したのは、「共同通信が業績不振を理由に閉店と報道したが、業績不振が理由ではない」ということについてだけだ。

次ページでは閉店をした理由は?
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