ワシントン・ポスト紙は、なぜ凋落したか? 受賞重視の陰で読者減少
デジタル革命
同紙元副社長、レナード・ダウニー氏も「ワシントン・ポストのようなマルチプラットフォームの報道機関が最大限の力を発揮するには、上場企業という形態では、株主に答える必要のない非上場企業よりも柔軟性に欠けるかもしれない」と指摘する。
デジタル革命は新聞業界を打ちのめした。だが皮肉にも、現会長兼CEOのドナルド・グラハム氏はハイテク好きとして知られ、インターネットがもたらす脅威とチャンスを敏感に感知していたと、ポスト紙の元エディターで現在はUSAトゥデー紙の発行人であるラリー・クレイマー氏は話す。
しかし、グラハム氏は同紙とそのスタッフをバージニア州にあるデジタル部門と2010年まで統合することはなかった。同紙電子版ができてから、10年以上が経過していた。クレイマー氏は、これはミスだったと指摘。「ある時期まで彼らは先を行っていたが、(電子版は遅きに失するまで)完全には事業化されなかった。彼らは存在意義を見失っていたようだった」と述べた。
前出のピンカス記者は、同紙が「ものすごい勢いで人員を増強し、読者ではなく、賞の獲得を追い求めていた」とし、ドナルド・グラハム氏が発行人だった最後の10年間で、「われわれは他のどの新聞よりも多くのピュリツァー賞を受賞したが、購読者12万人を失った」と語った。購読者数は減少し続けており、過去3年間は14%減の48万0166人にまで落ち込んだ。
(原文執筆:Fred Barbash記者、翻訳:伊藤典子、編集:野村宏之)
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